表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄譚はいつも紅に染まる  作者: パン定食
ヴァーロでの戦い
73/92

獣化

「あいつら増えるのか?」


 オウルとアナ、それと加わったウルは再び家の中へと非難して情報共有をしていた。

 プラゴを倒すためには同時に倒さないといけないことを知ったウルは驚き、なぜか涎を垂らしていた。


「じゃああいつら食料にできたら一匹食べたらまた増えて、一匹食べたらまた増えるって永遠にご飯に困らなくなるのだな」

「あんなグロテスクな奴ら食べる気かよ……あたしは勘弁だ」

「下らないこと言ってないで対策考えるぞ。戦力増えてだいぶやりやすくなったんだ」


 だが本性を表したプラゴはそんな猶予など与えなかった。むき出した牙を鈍く光らせ、涎をまき散らしながらわめきたてる。


「いつまで隠れてるつもりだぁ! 小娘どもぉ」

「出てこないならまとめてぶっ飛ばすぞぉ!」

「俺がぶっ飛ばす、お前は狙っとけよぉープラゴォ」

「おう、まかせろプラゴォ」


 片方のプラゴが大きく息を吸い込むと腹が大きく膨らむと、大きな水の塊を大砲のように打ち出す。


「やばい、逃げろ!」


 外の様子を伺っていたオウルがとっさに叫ぶと同時にウルとアナがバネに弾かれたように動き出す。その刹那、身を隠していた壁がはじけ飛び、辺りは粉塵に覆われる。


「……出てこないな、プラゴ?」

「ああ、死んだかな、プラゴ?」


 飛散した粉塵の中には動く者の気配はない。しかし宙に浮かぶプラゴ達からは、そのすぐ裏手の通りを駆ける三人の姿に気が付いた。


「裏口から逃げたか」

「追うぞ、プラゴ」

「いや、その前にお前なかなかの深手だよな、プラゴ」


 一体のプラゴは未だナイフに貫かれたままだ。


「ああ、頼む……プラゴ」


 もう一体のプラゴは深手のプラゴの頭を撃ち抜くと、また分裂を始めた。




 裏口から通りへ飛び出した三人は逃げながらも相談を続けていた。


「くっそぉ、あいつら連射だけじゃなくてあんな大砲みたいなのまで撃てるのかよぉ」

「なんで逃げるのだ? 戦えばいいのだ」

「さっきもいったろ、同時に倒さなきゃならないのに空飛んで逃げられる。それなりの対策立てなきゃ倒せないんだよ」

「うーん。そうなのかぁ……」


 ウルが不服そうに眉をしかめた時、通りかかった家に飾ってあった鉢植えが破裂し、黄色い花びらが舞う。後ろから水の銃弾が放たれているのだ。


「げー、あいつら追ってきたー」


 一体は人の目線の高さを、一体は2階建ての家よりも高い空中からと有利な立場でも警戒は怠っていない。


「くそっ、どうする……」


 オウルが毒づき走っていると、道が開け公園へと出る。その公園には逃げ遅れたのか、数人の住人が各々不安そうな顔を並べていた。


「こんなところにまだ人間がいたのか」


 空中に浮かんでいたプラゴは標的を変え、集まっていた住人に向かい乱射し始めた。


「プギャギャギャ、フナ虫のように逃げまどえー!」


 叫び声とともに蜘蛛の子を散らしたように散り散りに逃げ出す住人。そのうちの一人の子供の頭が撃ち抜かれる光景がウルの大きな目に飛び込んできた。


「大丈夫か!?」


 すぐさまに近寄るが、虚ろな目を半分開いたままピクリとも動かない。即死なのは明らかだった。

 胸が暗く締め付けられる。どこの誰かもわからないその子供のために涙が流れる。


「よくも……よくも子供を殺したな!」


 ウルの髪が逆立ってゆき、後ろで結んでた結い紐が解ける。ウルの周りに流れる空気がピリピリと痛いほどの緊張感を増してゆくと、爪が伸び、歯は尖り、身体的にも変化が表れ始めた。その変化にアナとオウルも気づく。


「お、おい、ウルのやつどうしたんだよ?」

「……まずいな。この場を離れた方がいいかもしれない……」

「どういうことだよ?」

獣化(じゅうか)だ。オルカカ族がなんで狂戦士(バーサーカー)って言われるか、その由縁が見られるぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=815325120&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ