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英雄譚はいつも紅に染まる  作者: パン定食
ヴァーロでの戦い
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不吉の象徴

「モモさん、次の曲がり角を右に行ったところに魔物が二体」

「オッケー、わかった」


 ルルティアは建物に上り屋根のから周囲を見回し、モモを誘導していた。

 建物の角を曲がると確かに魔物が二体、サハギンと呼ばれる海の魔物がいた。


 サハギンらはモモの姿に気づき臨戦態勢をとるが、注意を払っていない方角から放たれた矢には気づかず一体が首に直撃をくらう。矢はもちろんルルティアが屋根の上から放ったものだ。

 突然相方がやられ、もう片方のサハギンはうろたえルルティアに注意を向けると、今度は駆け付けたモモの一撃によって葬り去られた。


「ふぅ、危なげなくいけたね。ルルティアの斥候(せっこう)のおかげだよ」

「はい、ありがとうございます。じゃあ次行きましょう!」


 先ほどからルルティアはせかし焦っている様子で魔物の討伐に前のめりになっていた。恥ずかしがり屋で自分から引っ張っていくタイプではないルルティアに多少の不信感を覚え尋ねる。


「……やけに気合入ってるね、どうしたの?」

「えっ……と、はい、そうですね……ごめんなさい。わたし今自信なくなってて……」

「ああ、この間のトーナメントのこと?」


 言おうとしていたことを先に言われ、ルルティアは目をぱちくりとさせモモの顔を見る。


「わかっちゃうんですね……」

「うん、なんとなくね。あの後いつも以上に静かだったし、落ち込んでたのはみんな気づいてたし……」

「うう、なんか恥ずかしい……でもその通りです。ベルトーシカさんと戦って何もできなかったのが悔しくて情けなくって……」

「あまり気にしなくていいと思うよ。あの戦い方は向き不向きがあったから、射手(アーチャー)は相手の不意をつく職業だし正面きっての戦いでは不利だよ」


 また落ち込みだしたルルティアを見てこれはイカンと思ったモモが慰めるが、それでも自分を許さないまじめさを持つのがルルティアだった。


「それでも私が未熟だったから何もできなかったんです。わたしは強くなって認められたいんです」

「認められたい?誰に?」


「……わたしの耳ってエルフの中でも長いんです。エルフの間では長耳を持って生まれた子は不吉の象徴として忌み嫌われるんです」

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