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英雄譚はいつも紅に染まる  作者: パン定食
ヴァーロでの戦い
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救出へ迎え

「これはピンチだね」


 ガルシアとクロエの眼前にたたずむ貝鎧の騎士がさらに大きく見える。口も表情も全くわからないその騎士が言葉を発す。


「そういえば名乗っていなかったな。我はナンバー94『フジツボのギャング』一番の臣下、スティン。お前たちも自分の命をを奪う者の名前くらい知っておきたいだろう」

「ご丁寧な話だが、そうやすやすと殺されてやるわけにはいかないね」

「……そうね、影操作(シャドーオペレート)


 クロエが影をスティンに伸ばす。相手を操るクロエの十八番魔法だ。だが影が重なり合ってるにも関わらず、スティンには変わった変化は見られない。


「おかしい、操れない……」

「なにか魔法を使っているのか? 無駄なことだ、我に魔法の類は一切通用しない」

「魔法無効化……さっき羽を砕いたのもそのせい……」

「いかにもその通りだ。この槍にも魔力を砕く力が備わっている」

「だけど物理攻撃なら効くんだろ? 焔の鞭(フレイムウィップ)


 両手に持った鞭をしならせスティンに打ち付けるが、貝の鎧は固く、有効打にはならなかい。


「ふん、炎の鞭など水の属性の我らにはフナ虫に這いずり回れるようなものだわ。それではこちらもそろそろ反撃させてもらうぞ」





「やばいな、あいつら囲まれちまったぞ。パイ、コリン、ヨハンナ救出に向かうぞ!」

「はい!」

「あっわたしは?」


 名前を呼ばれなかったエマはどうしてよいのかわからないのか指示を仰ぐ。


「エマ、お前は体力もないし接近するのは不利だ。後方支援に徹してくれ」

「……」


 港ではミコトが素早く支持を出し行動に移していた。それに答えパイとヨハンナもすぐさま続くが、コリンは整備された船乗り場から凍り付いた海に降りてこようとはしなかった。


「あれ、コリンも早く! ボクらもいくよ」

「それがですのう……わたしはカナヅチなのですぞ……」

「はっ? そんなこと言ってる場合じゃないよ」


 声をかけたヨハンナは思いがけない答えが返ってきたことに眉をしかめる。


「うーん、ドワーフはみんな重いですからのぅ、もしひび割れて海に落ちでもしたら引き上げれる人もいないのですぞ。昔からドワーフにとって海は天敵なのですわ」

「まるで濡れるのを嫌がる猫だね、まぁ確かに無理強いできないのはわかった。陸地はまかせたよ」

「うむ、すまんのう」


 ミコトたちが駆け付け救出に向かうが他の魔物が立ちはだかりなかなか前に進めない。


「くそう、あいつらのピンチだってのに!」


 敵陣に少数で攻め込んでいるのだ、いくら単独で強かろうと苦戦するのは必須である。そのミコトたちの頭上を一つの影がよぎる。


 エマに召喚されたジャバウォックだ。その背にはエマ自身も乗っていた。


「あいつ、勝手に……」

「いいんじゃないアルか? わたしたちじゃ間に合わないアル。それに仲間を助けたいって想いは一緒アル」

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