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英雄譚はいつも紅に染まる  作者: パン定食
実技トーナメント
51/92

柔術 (リズ vs パイ)

 トーナメントは2回戦目と突入し、その初戦はリズ対パイとなる。


 パイがグラウンドで柔軟体操をしていると後からリズがやってくる。

 だがその姿、何かがおかしい。リズの腰からは剣を収めた鞘がはずされており、手には盾をもっていなかったのだ。


「プークスクス、剣と盾忘れてきてるアルよ。さては緊張してるアルな」

「大丈夫だよ、素手で戦うために置いてきたんだから」


 大事な道具を忘れてきたと思い笑っていたパイは意外な返答に耳を疑った。


「ん、素手で戦うって聞こえたけど気のせいアルか?」

「ううん、気のせいじゃないよ、ちゃんとそう言ったよ」


 パイの顔がみるみる赤くなっていく。


「バカにしてるアルか!? 武闘家のわたしと素手で戦うなんて!」

「うーん、バカにしてるつもりはないんだけどねぇ」


 のんきに答えるリズの様子に更に苛立ちを募らせる。


「ムキー、秒で倒してやるアル!」


 その言葉通り、パイは猪のごとく猪突猛進にリズへと突進してゆく。

 その勢いのままとび膝蹴りを繰り出すが、リズはそれをスルリとかわしながらパイの足を掴みひっくり返す。

 空中でバランスを崩され顔から地面に激突するかと思われたが、とっさに片腕を使い、転がるように受身を取る。


「さっすが、完璧な受身だね」


 パイはその言葉に更にカチンと来たのか、また勢いよく飛び出してきた。

 次に繰り出してきたのは右ストレート、リズはこれもスルリとかわすとパイの懐にもぐりこみ勢いよく一本背負いを決める。今度も受身を取るがさすがにダメージ0とはいかずLPが削られた。




「こりゃあ相性最悪だな……リズの『回避』は『柔術』からきたものだったんだな」


 観客席で見ていたミコトが口を開いた。


「柔術?」

「ああ、簡単に言うと相手の勢いを利用して攻撃に転じさせたり、ああやってぶん投げたりする技だよ」

「へー、リズさんって剣士かと思ってたのに、そんな特技があったんですね」

「今まで盾を使ってたからわかりにくかったけど、剣よりもこっちの方が得意そうに見えるな……」




 グラウンドではパイが何度もちぎり投げられていた。起き上がったパイの目が潤む。


「なんで攻撃が当たらないアル!! 今まで……今までわたしが必死に……」

「くやしいよね」


 リズの言葉にうずめていた顔を上げる。


「今まで必死に努力してきたことで誰かに先を越されてたり、どうしても追いつけなかったり……わたしにもわかるよ。でも、もう少し冷静になって考えてみたら」

「冷静に?」


 赤くなってた顔が徐々に落ち着きを取り戻していった。


「ふふっ、パイってほんと素直だね。そういうとこ好きだよ」

「ぐぬっ、お前は、落ち着かせたいのか、動揺させたいのかどっちアルか……」


 落ち着きを取り戻した顔がかすかに赤らむ。


「でもおかげで攻略法が見えたアル。敵に塩を送ったことを後悔するがいいアル!」


 そう言ったパイはただ突っ立っていた。

 いつまでも動かないパイにリズは首をかしげる。


「攻撃、仕掛けてこないの?」

「攻撃したら返されるアル。だったら仕掛けられるの待つアル」

「そう……」


 それからしばらく二人立ちぼうけのまま時間が過ぎた。




「はい試合終了~、時間切れだよ」


 ミコトから終了の合図が送られる。もちろん訓練でも時間制限はある。この場合、もちろんLPが全く減ってないリズの勝利である。


「あぁー!! しまったアルー!!」


 パイは頭を抱え転げまわる。

 同じように頭を抱えたい人間が観客席にもいた。担任であるミコトだ。


「才能も努力もぴか一なのに、あの残念さを直すのが一番厄介そうだな……」

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