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英雄譚はいつも紅に染まる  作者: パン定食
実技トーナメント
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一撃の意味 (ウル vs コリン)

 パチーンという衝撃音が鳴り響く。

 ミコトがパイの頬を引っ叩いた音だ。


「さっき使ったあの技、気功術は相手を体内から破壊する技だ。気功術は仲間に使っていい技じゃないことはわかっているはずだ。回復魔法でもなかなか回復できないし、下手をすれば後遺症も残りかねない危険な技なんだぞ!」


パイは叩かれた頬を押さえ、うなだれていた。


「わたしはただ、実力を認めてもらいたかっただけアル……」

「そんなことで仲間を危険にさらすのか?気功術の訓練ならわたしが付き合ってやるから、今後訓練では禁止だぞ!」


 そう言うとミコトは踵を返しグラウンドに戻っていった。その姿を追うパイの目には涙が溜まっていた。


「それでもわたしは……」




 パイがグラウンドに戻ると、コリンとウルの戦いが始まっていた。


「たぁ!」


 ウルの斧が横薙ぎに払われるが、コリンはそれを手甲で受け止め、棍棒を突き返す。


 このようにウルが攻撃を仕掛け、コリンがそれをカウンターで返すといった攻防がずっと続いていたが、ウルの攻撃は届かず、カウンターでLPを削られていた。


「おかしいのだー! モモと闘ってたときはぶっ飛ばされてたはずなのだ、ウルの方が力強いはずなのになんでびくともしないのだー!」

「ほっほ、何ででしょうなぁ、よく考えてみなされ」


 コリンに隙を作ることができずにいらだっているウルは、睨み付け「ウ~」っとうなっていたがなにか閃いたらしく、指差し大声を上げる。


「わかった、モモと闘ってたときは『だいえっと』してて体重が軽かったのだ。今はリバウンドして重くなったのだ!」

「そんなわけあるか! 重くなったとか失礼な!!」

「じゃあなんでなのだ?」

「わたしは闘ってる最中に敵に塩を送るほど甘くないですぞ。そちらからこないのであれば、こちらから仕掛けさせてもらいますかな」



 そう言うとコリンは棍棒を構え、じりじりと近づいていった。攻めあぐねていたウルは結局がむしゃらに攻め、カウンターをくらいLPが0となった。


「あぁー、くやしいのだー! 一撃も当てられなかったのだー!」


涙目になりくやしがってるウルを見かね、年上のドワーフがアドバイスを送る。


「確かにお前さんの力は強い、モモとの違いは闘い方ですぞ」

「闘い方?」

「モモは全身を使って攻撃をしているのですな、回転し、遠心力を使い、腰をひねり、一撃一撃に意味を持たせておるが、お前さんの場合はなまじ身体能力が高いせいか腕の力だけで攻撃しておる。それじゃあ一撃の重さが変わってくるのは当然だわい」


 ウルの目からは涙の代わりにうろこが落ちる想いだった。


「一撃に意味を持たせる……そんなこと考えたこと無かったぞ」

「まぁわたしぐらい固い相手に出会わない限りは腕力だけで十分ですからの。でもそこを意識すればお前さんはもっともっと強くなれますぞ。」

「ほんとか? ウル、もっと強くなれるのか?」


 先ほどまで泣きそうだったウルの顔はぱっと明るくなった。


「うむ、強い人たちをもっと観察するべきですな」


 ウルは髭を撫で高説を垂れるコリンに飛びつき、頬をぺろぺろ舐めだした。


「な、なんですぞ、止めなさい!」

「ありがとうの印なのだ、オルカカ族の間ではこうするんだぞ」

「わたしはウルカカ族ではないですぞ、髭が……髭が乱れるー!」

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