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英雄譚はいつも紅に染まる  作者: パン定食
カシシュミナ学園、入試試験
24/92

決着

 十体を超える不気味な髑髏が骨をきしませ、四方からモモに襲い掛かる。


 これらを巨剣で一掃するとクロエに向かい駆け出すが、それをコリンが身をもって阻む。

 繰り出される棍棒を避け、立ち止まるモモに対して今度は石が飛んでくる。周りには更に多くの髑髏が取り囲み、近くにある石を投げつけているのだ。

 「もう!」と不快感を示しながら投石をかわすとまたクロエとの距離が広がる。


「この地に眠る猛き魂よ、我が求めに応じ目覚めよ、死霊の宴(コープスパーティー)


 これら数多くの髑髏を生み出し操っているのは死霊魔術師(ネクロマンサー)のクロエだ。

 彼女が術を唱えると地中から次々と髑髏が這いずり出てき、先ほどモモに粉々にされ動かなくなった分を補充した。


「まだ出てくるの? いつまで続くのよこれ」


 すでに百体を超える髑髏を撃破してきたのにも関わらず、次から次へと生み出されることに対しモモがうんざりとした表情を見せる。いい加減埒が明かないと術者本体を狙うが、先ほどのようにコリンが阻止しているのだ。

 

「ほほ、思わぬ逸材ですな。まさかクロエ殿がここまでの死霊術の使い手だったとは、死霊たちはまだ出せるのですかな?」

「うん……まだへーき」


 圧倒的な攻勢に気を良くしたコリンが余裕を覗かせるが、クロエは相変わらずボーっとして何を考えてるかわからない。

 その様子を見てモモの闘志に火がついた。コリンに一直線に向かう。


「調子に乗ってられるのも今のうちだよ」

「わたしから潰そうという魂胆ですかな? そう容易くはいきませんぞ」


 案の定、巨剣での一撃も防がれその間に髑髏たちに囲まれ攻撃を受けるがコリンへの攻撃の手を休めない。それどころか剣を振り回すたびに複数の髑髏を巻き込んでいる。


「わたしね、対多人数が得意なんだよ。ダメージさえ気にしなければ!」


 鉄鎧に身を固めた少女に連激を叩き込むと、高防御を誇るコリンもたじろぐ。どんどん攻撃の回転数を上げていく様はまるで剣の嵐、髑髏は近づいただけで粉々にされていた。

 連激に対処できなくなり棍棒がはじかれた隙を狙い、下方向からの攻撃で重い鎧に身を固めたコリンの身体を浮かす。


「なんとっ!」

「これなら踏ん張れないでしょ?」


 にっと微笑みながら渾身の一撃で吹き飛ばす、その先にはクロエの姿があった。


「ここまで計算済みか!」


 そう叫ぶコリンとクロエの衝突は免れないと思ったその刹那、オウルが飛び出しコリンを蹴りつけ軌道をそらした。


「こりゃ、オウル!お前さんもっと助け方ってもんがあるだろう!」


 地面に激突するなりすぐさま起き上がり文句をつける。やはり頑丈である。オウルはその文句を意にも介さずスンとしてるが表情は険しいままだ。


「あのピンク髪、厄介そうだな」

「……うむ、あのパワーとスピード、それにめちゃくちゃに見えてちゃんと考えて攻撃してきている。正直手に余るわい」

「クロエ、出せるだけ髑髏出してくれ、こっちもそれほど余力がない。総力戦を仕掛けて一気に叩くぞ」

「うん、わかった」


 先ほどまでリズと戦っていたオウルはもちろん、コリンの数値も残り少ない。作戦を立てるとグラウンドのありとあらゆるところから髑髏が這い出てき、地獄のような光景が広がる。

 先ほどの連激で疲れたのか、モモはその中央でじっとたたずみ動かない。


「……行って」


 クロエが命令を出すと三百は超えるだろう髑髏の大軍が一斉に一人の少女に襲い掛かった。


 モモはまだじっとして動かない。さすがの戦力差に勝負をあきらめたのかと思われたその時、モモの身体が光った。


「光よ、その意思を持って闇を打ち払え、光の力(ライトニングフォース)


 光は術者を中心に広がる。その光の中で髑髏たちが次から次へと崩れ落ち、残ったのは4人の姿だけだった。


「髑髏たちが……さっきの光はなんだ?」

「闇の魔法を打ち消したり、魔物を弱体化させる術だ、剣士かと思ってたら魔法も使えるとはのう……」

「う・・うあぁぁぁ~」


 数多くいた髑髏を一掃した光に驚くオウルの疑問にコリンが説明をしていると、クロエが泣き叫んだ。

 一同が突然の事態に驚き、コリンがなだめようと声をかける。


「髑髏たちが全滅したのは残念だが、何も泣くことは……」

「か、神……なんと神々しい……」

「はっ?」


 恍惚とした表情で涙を流すクロエは突然モモへと駆け寄っていく。


「おおお、ついに見つけた。わたしの神様!わたしは、わたしはぁ~」

「えっ、何々? 怖いんですけど……」  


 女性が涙を流し、長い黒髪を振り乱し走りよってくる様は恐怖でしかなく、ある意味アンデッドの髑髏よりも怖い。

 近づいてくる頭を巨剣の腹の部分で殴ると、簡単に気絶してしまった。


「……なにかわからないけどとどめを刺しておこう」


 そう言うと再度腹の部分で何度か、ゴンゴンと殴りつけ脱落させた。


「あいつは一体何がしたかったんだ?」

「わからんのう……だが数に物を言わせることも出来なくなってしもうた。こうなったら玉砕覚悟、わたしが動きを止めるから致命傷を与えてくれい」


 段取りを決めるとドスドスと音をたて駆け出した。


「また君が相手か、決着つけてあげるよ」

「地に根付く生命たちよ、我が難敵を絡めとれ、拘束の根(リストレイントルーツ)


 モモの足元から植物の根が萌え育ち、モモの下半身を這いずり絡みとってゆく。そこにコリンの棍棒が突かれるが、巨剣の柄で受け止める。


「くっ、動けない。まさかあなたも魔法を使えるなんてね。」

「奥の手を隠してるのはあなただけではないのですよ、上半身だけで耐えられますかな?」


 コリンは連続で突きを繰り出すと、先ほどと同じようになんとか柄で受け止めるが途端、背中から切りつけられる。オウルが背後にまわって攻撃を仕掛けたいたのだ。


「卑怯だなんていうなよ。これは勝負なんだからな」

「まさか、女の子縛り上げて好き放題なんていい趣味してるわよ」


 軽口をたたくと剣を足元に突き立てる。するとどんどん根がやせ細っていき枯れてしまった。


「そんな馬鹿な! 一体何をした!?」

「な・い・しょ」


 突き立てた剣を引き抜くと、驚きを隠せない術者のコリンに向かい駆け出すがオウルが間に入り阻止を図る。

 が、そんなことお構いなしにオウルとコリン二人まとめて巨剣でなぎ払う。


「ばいばい」


 巨剣で吹き飛ばされた二人の数値は0になっていた。


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