リズの告白
パイが運び込まれる少し前、過呼吸になったリズは医務室で休んでいた。
「リズ、ほんとに大丈夫なの?」
付き添っていたモモが心配そうな顔を向けた。リズは小さくうなずくだけで言葉を発することはなかった。
「……あの魔獣が現れてから様子がおかしくなったけど、何か関係があるの?」
モモの瞳を覗く。その眼はすべてを見透かしているような不思議な輝きを放っているように感じられた。
そんな感覚に陥ったせいだろうか、リズは自身に起こった過去についてポツリポツリと語り始めた。
家族があの魔獣と同じ種に殺されたこと、村が焼けてなくなってしまったこと、ユリ・アルカディアという女性に助けられたこと。その後、とある人物に預けられ闘い方を学びこの学園に来たこと。
その絶望的な身の上話をモモは静かに聞いていた。
「八年もたったのにね、すっかり記憶の底に追いやったと思ってたのに……駄目だね、わたし。モモはわたしのこと『強い』って言ってくれたけどそんなことないよ。あの頃の幼いわたしはまだ心の中で泣いてるんだ」
リズの肩が小刻みに震えている。その肩をそっと引き寄せ抱きしめる。
「そんなことはないよ。リズはその恩人のようになりたいって努力を続けてきたんでしょ? さっきの戦い見てたらわかるよ、がんばってきたんだなぁって……昔のこと思い出して不安になることなんて誰にだってあるよ」
引き寄せてた肩をぐっと押し返し、互いの目を交差させる。
「あなたがやってきたことはウソはつかない、自分を信じなさい!」
モモの励ましにリズの目からは涙がこぼれた。ワァワァと声をあげ子供のように泣きじゃくる、このように泣くのはあの日以来か……
「……もぉ、リズは泣き虫なんだなぁ」
「うる……さいよぉ……モモのいじわる……」




