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時間が空いてしまい申し訳ないです。
また、頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!
「お誕生日おめでとう。ユリウス、レティシア。」
「「ありがとうございます。お母様。」」
王妃からの言葉に、二人は声を揃えて答えたのだった。
波打つようなプラチナブランドの髪。陶器のような白い肌。美しく、どこか儚げな印象さえ抱かせる整った顔立ちの王妃は、一目でユリウスとレティシアの母だということがわかる。
二人が唯一王妃と似ていないのは、エメラルドグリーンの瞳。この瞳の色は、父王から受け継いだものだった。
王は王妃とは打って変わって、整った顔立ちはしているが、威厳のある、どこか近寄りがたい雰囲気を持った人であった。二人に対して愛情がないわけではないが、大国の王としてしなければいけない公務が山程ある。なので二人と顔を合わせる時間は、圧倒的に王妃より少なかった。
今日のこの二人の誕生日のディナーも、予定外の公務が入り、来られていない。後から参加するということではあるが、いつになるかはわからない。
なので、このディナーのテーブルには、王妃と、ユリウス、レティシアの三人だけであり、三人ともすでに食事を済ませてしまっていた。
「二人とも、今日のダンスはとても素敵でしたよ。」
「ありがとうございますお母様!」
レティシアはそう言って目を輝かせて喜んだ。その隣で、ユリウスは喜んではいるが、複雑そうな表情をした。
「ありがとうございます。でも、今年もレティには勝てませんでした。」
「あら?今年もレティが勝ったの??」
「いいえ、お母様。引き分けでした…。わたし、今年はユリウスに勝てませんでした。」
そういってすこし落ち込んだ二人に、王妃は笑いかけながら言った。
「あら、二人とも去年よりとても上手になっていたわ。ユリウスはリードが堂々とできるようになっていたし、レティシアはステップの足さばきが、去年より流れるようで美しかったわ。二人とも、とてもレッスンを頑張ったのね。母としてとても誇らしかったわ。」
その王妃の言葉を聞いて、二人は照れながらも嬉しそうにしていた。普段人前ではとても大人びて見える二人だが、母と三人になると、年相応の反応を見せる。
「お母様、わたし、もっと頑張ります!そして必ずお父様やユリウスのお役に立てるようになります。」
そう言ったレティシアの顔は、普段外で見せている気弱そうな顔とは別物であった。強い意志を宿した美しい瞳は、キラキラと輝いていた。
(周りにいくら冷たい方や、認めてくれない方がいようとも、大好きなお母様やユリウスが認めて、褒めてくれるなら、わたしも一生懸命頑張って、みんなのお役に立てるようになりたいわ!)
そんな決意をしていたレティシアを、ユリウスは横で嬉しそうに眺めていた。
彼は確かに才能も素晴らしいものがあるが、それだけではなく、努力も並大抵のものではなかった。だが、その努力を後押しするのは双子の妹、レティシアの存在に他ならないことは、幼いながらも分かっていた。
彼女が自分を目指して頑張っている姿、ひたむきに彼女自身と向き合おうとする姿。普段外で気弱になってしまう所もあるが、いやなところばかりに目を向けず、自分にできること、愛するもの、大切なものに目を向けて努力している姿は、兄として誇らしく、そしてまた自分も負けては居られないと、奮い立たせてくれるものでもあった。
そんな幼いながらも、決意を固める二人を、王妃は嬉しそうに眺めていた。
「二人とも頼もしいわ。そんな二人ならお兄様とお姉様としても頼もしくなること間違い無いわね。」
微笑みながらそう告げた王妃に、二人は固まった。
「お、お母様?今なんと?」
ユリウスが珍しく平静を保てずに驚いている横で、レティシアはきょとんと、大きな瞳を見開いていた。
「本当は陛下がいらしてから二人に報告するつもりだったのだけど、陛下がいついらっしゃるかわからないし、言ってしまいましたわ。」
二人の素直な反応が面白く、コロコロと上品に笑いながらそう答えた。
きょとんとしていたレティシアが、頬を染めながら興奮気味に王妃に尋ねた。
「まぁ!お母様!ついにわたしにも弟か妹ができますのね!」
「えぇ、そうよ。貴方達を驚かせたくて、安定するまでは内緒にしていたのよ。だから陛下と宮廷医師のオスマンと、私付きのメイドしか知らないの。」