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大変お待たせして申し訳ありません。

どうぞよろしくお願いいたします。


(一度、章の管理を間違えて過去変に投稿してしまいましたが、本編のつづきに設定しなおしました。)


(なんだか落ち着かないわ…。)


自分のベットに他人を寝かせたことなど当然あるわけもないレティシアは、ある程度治療を施され自分のベットに横たわるアルトをそわそわと眺めながら、外に向けて細心の注意を払う。


アルトに突然組み敷かれたのでそのまま少しの間狼狽していたが、ぐったりと血の気のない彼の様子にすぐに我に返り、周囲を警戒しながら魔法を使って自室までどうにか運んできたのだった。

”ユリウス”は治癒魔法を使えることにはなっていないので、緊急用に部屋に置いてあった魔法薬(きずぐすり)と包帯で処置をした。

アルトが自身で応急処置のために施したであろう初歩的な治癒魔法のおかげで、出血は多くなかったようで大掛かりな処置は必要なく、医師を呼ぶまでには至らなかった。


(それにしてもどういうことかしら…。自国内の継承権争い?二国間の関係を悪化させることが目的?私怨?王宮内で他国の王子が傷を負って倒れているだなんて、この状況を放っておくわけにはいかないわ。)


”ユリウス殿下”の微笑みは通りすがりのご令嬢がうっかり見てしまえばふらりと倒れてしまいそうだといわれるほど神秘的で洗練された美しさがあるが、壁に背を預け表情を曇らせ思案している顔も、耐性がないものであれば男女問わず頬を染めてしまいそうなほど秀麗だった。


「ん…。」


くぐもった声を発する方を見てみると、アルトが意識を浮上させているのか、薄っすらと瞼が開き、瞳に光が宿り始める。


「アルト!気が付きましたか!」


壁際からベットの近くまで行き顔を覗き込むと、先ほどの冷え込んだ色とは違う柔らかなアイスブルーの瞳と、レティシアの澄んだグリーンの瞳が合った。


「ユリウス..?」


昼間言葉を交わした時に聞いたユリウスよりも低く、華やかさを含んだ凛とした声ではなく、少しかすれて力のない声が、血の気がまだ戻っていない形のいい唇から発せられた。


「少し、待ってくださいね。」


アルトに声をかけた後、レティシアがベッドサイドテーブルに用意してあった水差しからグラスに水を注いでいる間に、アルトは少し痛みに眉をひそめながらも身体を自力で起こしていた。


「どうぞ。」


レティシアがグラスを両手に持ち直して、アルトに慎重に手渡した。

きちんとグラスを受け取った様子を見て、やはり神経系などの毒物は入ってなさそうなことや、今のところ傷が身体の動きに響いていないことを確認する。


アルトが受け取ったグラスからゆっくりと水を乾いたのどに流し込み、唇をグラスの縁から離した後、一度息を吐き、口を開き


「面倒をかけて、すまない。」


きらきらという形容詞がぴったりだった絵本から出てきた王子様のような様子とは打って変わり、どこか影がかかった雰囲気で謝罪の言葉を発し、口を結び、レティシアと合わせていた視線を少し下に落とした。


本来であれば、他国の王子が滞在中の国の王宮の、しかも第一王子の住まう宮の庭にどういうわけか侵入し、倒れていたのだ。立派な外交問題につながるし、”人を呼ばないでほしい”などという言葉に素直に従う道理はなかった。ただ、レティシアは昼間助けてもらったことへの義理と、”

ユリウス”と認識した時に敵意をなくしたアルトの様子を見て、自身に対しての彼からの敵意はないと判断し、一旦話を聞いてから判断することにしたのだった。


「お身体は大丈夫ですか?簡単な応急処置しかできなかったのですが…。」


状況を聞き出すわけでもなく身体の具合を心配されると思ってなかったのか、少し戸惑った様子でアルトは瞳を揺らし、灯りに照らされて優しく輝くレティシアのグリーンの瞳をもう一度見た。


「あぁ。ありがとう。傷も、問題なさそうだ。」


そう言って少し雰囲気をやわらげたアルトを見て、レティシアは昼間アルトと会った時に感じた完璧な王子の手本への憧れとは違う何かを感じた。


穏やかで凛々しい雰囲気を纏うきらびやかな色彩の美しい王子 という作り物の様にさえ見える完璧な王子の様子からは想像もできなかった、砕けた言葉遣いでどこか影を落とした様子に戸惑ったのだろう とレティシアの思考はその感情を処理した。


「良かったです。性急で申し訳ないのですが、お話を聞かせてもらうことはできますか?もし、お身体がまだつらいようでしたら、、」


少し休んでからでも大丈夫ですよ と続けようとしたところ、アルトが首を横に振った。


「いや、身体は問題ない。それに、これ以上迷惑をかけるわけにもいかないから話すよ。」


そうしてアルトは冷静に怪我を負うに至った経緯をかいつまんで話し始めた。


ーーーーーー

一通り、経緯とアルトの置かれている状況を聞いた後


「第二王子派の刺客、ですか。」

レティシアはアルトから聞かされた話を分析して、声を発した。


「そう。母である王妃が死去した後、第二王子の母の側妃が力を持つようになってね。自身の子である第二王子を王位に就かせるために躍起になっているようなんだよ。」


どこか他人事のように淡々と話すアルトの様子に、レティシアは少し心が痛んだ。


(お父様が愛妾や側妃というものを作らないから、今まで私にとってはあまり現実味がなかったのだわ。アルトはお母様である王妃が亡くなられたあと、王宮の中で年端もいかない後ろ盾のない王子として不安定な立場の中過ごしてきたのでしょうね…。推察するにお母様のご実家はあまり身分が高くないのか、政治に対して大きな影響力がないお家なのかもしれないわね。)


アルトの幼少期にずっと胸を痛めているわけにもいかないので、状況の整理に務めようと、得た情報から更に足りないものを補完するために思考を続ける。


「ところで、父と内密に会うために最奥の宮に招かれ、向かっている間に襲撃された とのことでしたが、襲われた後なんとか王族の居住区までたどり着いた ということですか?」


他国の王子が怪我を負った状態でいくら本人が隠そうとしたにしても、王族の居住区に入ろうとするのを警備する者たちが見逃す ということなどあり得るのかと思い、質問をした。


「いや、襲われたのは王族の居住区に”入った後”だ。」


他国の王位継承権争い だけでは済まなそうな事態に、レティシアに身体に緊張が走った。
















ここまで読んでいただいて、本当にありがとうございます!

また、ブックマークも、大変励みになっております。


次話以降、構想は出来上がっているのですが、初心者で書く手がなかなか早くないので時間がかかってしまっております。

なるべく早く投稿したいので、より一層頑張ります! どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。


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