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初心者ですが、頑張って書きます。

よろしくお願いします。

(そんなこと言われても困ります。だって私、本当は女の子ですもの…!)


いつもなら、次の講義や稽古があるのを理由にして適当にあしらって逃げているが、今回はそうもいかない。なにせ、相手は王女だ。外交上何か問題があってもいけないし、将来本物のユリウスが結婚することになるかもしれない。今後のことを考えてうまくかわさなければいかない。


そう、彼は女の子である。本当の名前はレティシア。彼女はユリウスの双子の妹である。彼女は10歳の誕生日からユリウスの代わりとして生きている。

なぜなら、本物のユリウスは彼女達の10歳の誕生日の時から魔法によって眠り続けているからだ。

このガラナテス王国では基本的に王子が王位継承権を持つ。王女も一応王位継承権はあるのだが、歴史上、あまり王位についた王女はいないので、王子がいるということは国内の安定の為にも、国外に対して付け入る隙を与えないためにも必要なことなのだ。

そして、レティシア達の弟はまだ幼く、第一王子が眠っているということになれば、身を狙われる危険にもつながるし、いらぬ継承権争いを生むかもしれない。

なのでレティシアはユリウスとして振る舞っている。このことを知っている者は数少ない。


(ど、どうしましょう…、今日はもう講義も稽古も終わってしまったし…。なんて言ってこの場を収めようかしら…。それにしても、ここまでストレートに告白してくる方なんてそんなにいないから珍しいわ。ユリウスはこういう子が好きかもしれないし、、角を立てないようにうまくやらないと…。)


レティシアは男として生活している間で、言葉遣い男のようにずっと話しているが、頭の中では女言葉の事の方が多い。特に焦っているとなれば尚更だ。

すごい速さで頭の中でいろんなことを考えながら答えに困っていると、救いの声が聞こえて来た。


「申し訳ありません。リリー姫。ユリウスはこれから僕とチェスをする約束をしているので、彼をお借りしてもよろしいでしょうか??」


そこにはキラキラとしたブロンドの髪に、アイスブルーの瞳、柔らかな物腰の気品あふれる王子がいた。


「まぁ…!そうでしたのね。アルト様とのお約束でしたらしょうがないですわ。ユリウス様、またわたくしともゆっくり、お話しましょうね?」


「もちろんです。リリー姫。では失礼します。」


そう言ってユリウスは一礼し、アルトと共にその場を離れた。


「アルト様、助けてくれてありがとうございます。」


「気にしないでください。私もたまに同じようなことがありまして、戸惑う気持ちはとてもわかるのです。」


(アルト様モテそうですものね。私と違って本物の王子だし…。とても素敵だから、私もアルト様を見習ってより王子らしい王子を目指すわ!)


きらきらとした目をアルトの横顔に向けながら、レティシアが心の中で勝手にアルトを王子としてのお手本にしようと決めていると、横に並んで歩いていた彼はふと足を止めて、王子様然とした笑みを浮かべながら、レティシアに顔を向けた。


「それよりユリウス、今更ですが、ユリウスと呼んでも??私のことも是非アルトと呼んでください。せっかく年も近いですし…」


「もちろんです!ではアルトとお呼びします!よろしく、アルト」


そういってユリウスは微笑んだ。

見目麗しい二人の王子が微笑みあっている様子は、うっかり通りがかったご令嬢が失神してしまうのではないかというくらい、そこだけ別世界のように輝きを放っていた。



ユリウスはこの国において第一王位継承権を持つ王子だ。アルトもまた、彼の国においては第一王位継承権をもつ王子で、ユリウスとレティシアの一つ上の年である。自国の中だとなかなか対等に話せる友達のような存在が多くないという共通の立場の二人は、年齢的にも身分的にも、仲良くなるには申し分ない相手だった。


ちなみに、同盟国同士であるし、年も釣り合いが取れていることから、ユリウスとレティシアが生まれた時からレティシアをアルトの妃にという話は水面下で動いていた。しかし本物のレティシアがユリウスの代わりを務めているため、レティシアは病弱で公務にも参加せず、部屋にこもりきりと言うことになっているので、その話が表立って進められることはなかった。

大国の直系の王族が魔法で眠りについているなどという弱味を、わざわざさらすものでもないし、そういうことにしておいた方が、レティシア自身、動きやすいのだ。

彼女には目的があるのだから。



彼女はこの5年間、ユリウスを目覚めさせるということを一番に考えて過ごしてきた。

5年前ユリウスとレティシアは何者かに襲撃され、ユリウスは正体不明の眠りの魔法をかけられた。

ユリウスに魔法をかけたものはまだ捕まっていない。

眠りの魔法は通常、他の者が絶対に解けないと言うわけではなく、然るべき知識と技術が有れば解析・解除することもできる。

なので王宮に務める宮廷魔法士の中でもこういった魔法の解析・解除に優れた者に極秘で診てもらい、解いてもらおうともした。

しかし、解けなかった。

その者でも解けなかったとなると、かなりの実力を持った魔法使いがかけたことになる。

もちろん解析は続けさせているし、情報収集は行っているが5年経った今でも大きな手がかりは見つけられていない。

眠っていることが公に出来ない以上、国を挙げて調査するわけにもいかないのが現状だ。

そうなると、やはり、かけた本人に解除をさせるか、解析のための何らかのヒントを極秘に得るしかない。

レティシアの考えとしては、彼らの狙いだったユリウスは生きているし、レティシアも病弱で引きこもっていることにはなっているが、生きている。犯人はまた機会を狙ってやってくるだろう。

その時に犯人を捕まえ、ユリウスにかけられた魔法を解かせるか、拷問でもして手がかりを得るしかないと。

それまでは自分がレティシアに戻るわけにはいかないのだ と。

なのでその目的に奔走すべく、レティシアに婚約者がいないのは都合のいいことだと考えていた。

ユリウスに婚約者がいないのは、目覚めた時にいきなり婚約者がいては可哀想だから とレティシアは思うようにしているが、本当はユリウスが目覚めなかった時のことを考えて、父王が保留にしているのだろうと言うことは薄々推測はしている。

流石にレティシアがユリウスの代わりに婚姻を結び、世継ぎを残すと言うのは、努力の積み重ねでどうにかなる問題ではないからだ。



「ではユリウスも会議の準備などでお疲れでしょうし、チェスはまたの機会にお相手願いますね。」


「はい。お心遣いありがとうございます。ではまた。」



そう言って二人は別れた。

もちろん二人はもともとチェスの約束などしていない。ただ、あの場からユリウスが抜け出せるようにアルトが気を利かせて言っただけだ。

(アルトは優しいわ。本当に私を助けてくれるためだけに声をかけてくれたみたいね。)



レティシアはアルトと別れたあと、そのまま自室に帰った。


「お帰りなさいませ。ユリウス様。」


「ただいま、ローナ。」


「本日もすぐご入浴されますか??」


「うん。お願い。」


「では、こちらへどうぞ。」


レティシアはローナに促されるまま脱衣所に向かい、ローナに身をまかせる。


ローナがシャツのボタンを上から外していくと、レティシアの細く白い鎖骨が見える。シャツを丁寧に脱がされ、さらしのような胸にまかれている布をとると控えめではあるが柔らかなふくらみがあった。ほんの2年ほど前まではさらしなど必要なかったのに、いくら訓練をして鍛えようとも、男らしく振る舞おうとも女性として成長している身体は止められない。


「まぁ、またレティシア様の綺麗なお身体に傷が…」


ローナの視線の先には、レティシアの左腹部に少し擦れたような傷があり、そしてそこがあざになっている。


「あぁ…。ジルとの稽古の時についたんだな。ジルの攻撃を避けきれなくて、僕もまだまだだから…」


「もう、本来であればレティシア様の体にこのような傷が付くなどあってはなりませんのに…」


「心配してくれてありがとう。ローナ。でも僕は大丈夫だから。まだ頑張れるよ」


どこか切なそうな色を瞳に宿すレティシアに、たしなめるような視線を向けられたローナは、幼い主の心中を思い、目を少し潤ませた。


「申し訳ありません。ユリウス様。ユリウス様が一生懸命頑張っていらっしゃるのに、私が弱音を吐くなど、あってはならないことでした。お許しください。」


「いいんだよ、ローナ。ローナがいてくれるから頑張れるんだ。」


そう言ってレティシアはローナに身体を洗ってもらい、バスタブにつかる。


「ローナ、少し一人にしてもらえるかな??」


「かしこまりました。では、何かありましたらお呼びください。失礼いたします。」


そうしてレティシアは一人になった。大きな浴槽だから、15歳のレティシアが入ってもまだ十分余裕がある。


(ふー…。あの頃はもう少し身体が小さかったけど、こんなに広くは感じなかったわ…)


そしてレティシアは一人、想いを馳せるのであった。

たった一人の双子の兄、ユリウスに。



読んでいただきありがとうございました!


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