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不完全人間  作者: 黒威
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孤独

私は孤独だったんだと思う。

人から、他人から見ればそうは思われない。だけれど確かに孤独だった。


家族がわからない。何が基準で家族と言えるのか。それがわからない。


親の基準は?

血の繋がり?産んでくれたら親ですか?

それとも育ててくれたら親ですか?


どちらもですか?片方ですか?


私は寂しかった。





さてさて。突然だけれど子供の頃の話をしよう。






これははっきりと覚えている出来事。


母と一緒に入浴していた。

突然に。それは本当に突然に。突然過ぎてわからなかった。




ザブン、と音が聞こえた。



何が起こったのかわからなかった。




_苦しい

__息が出来ない






湯船に沈められていた。

たったの数秒。

けれどそれは数分、数十分。そう感じる程に長かった。


「悪魔に取り憑かれちゃった」



それが解放されてすぐに言われた言葉だった。



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