初参加
集合場所の公園には、200人近くの人達が集まっているようだった。
30人ほどの人達が、大小それぞれの大きさをした日の丸を手にしている。
彼らの勇ましい主張が込められた幟や垂れ幕もある。
これまで見向きもしなかったこれらのものは、いざ間近で見ると少し気分を高揚させた。
僕は帽子を被り、マスクをしていた。
初参加とあって、不安もあれば恥ずかしさもあって、
顔を隠せば大丈夫、特定さえされなければ何の問題もない、と
自分を慰めるべく持参していた。
これは正解だった。
顔を隠す事で気が楽になった。
さらに偽名を使い、知り合う参加者に教える連絡先はGoogleで取得したGメールのみに限定するつもりでいた。
個人特定に繋がる情報は、名前や連絡先、住所や職業まで、偽装するか隠すかして徹底的に遮断するつもりでいた。
警戒しすぎていたのかも知れない。
ここでは誰も僕を知らない。
初めて関わる新しき世界だ。
それは魅力だった。
これまでの人生がまったく問われない。
たぶん評価基準も学校や職場とは違う。
評価の基準が違うのなら、人間関係も変わってくるのかも知れない。
人間関係の苦手な僕に期待を抱かせる何かがここにはあるように思えた。
それに、もし僕がこの運動に継続して参加する事になって、
人間関係が出来ていったとしても、
それは偽りの僕と彼らとの間にうまれる、週末だけの関係だ。
この世界だけの別の自分を演じる事も出来るし、嫌になれば別の運動に参加してやり直せる。
責任や能力といった基準からは解放され、経歴や人格は秘匿できる。
実に都合のいい世界に思えた。
もしかしたら、これからこの世界で表れてくる僕が、解放された真の姿なのかも知れない。
僕はそれを期待していた。




