表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
春夏秋冬  作者: 金欠マン
6/10

~17歳・春~

青森は春になっても桜が咲くのは遅く、桜の木の下で卒業、入学なんてことはほとんど無い。今年も例によって桜は春になっても咲かず、まだ寒さが残る街を卒業生や新入生が歩いている。


僕には卒業や進級はなく年度が変わっても、いつもの道をいつものコンビニまで歩いていた。

道中、中が良さそうな男女の2人組を見ては、うつむいていた。

あれから1回も鈴はコンビニには来ていない。

あまりほかの男子と仲良く出来ないのだろう。変に誤解されたらまずい。ましてや同じ学校の同級生じゃない男子と仲良くしているところを目撃されたら確実に怪しまれる。

鈴には鈴の事情があるから来れないんだ…なんて自分に言い聞かせてからもう3ヶ月以上はたった。


いつものようにレジに入り、いつものように会計の仕事をする。なるべく仕事に集中しようとしているのだが、ふっと気が緩むと、頭の中に鈴の笑顔が出てくる。それを必死に消そうとして、仕事に集中する。

「最近、よく仕事してくれるねー。」

と、皮肉にも店長に褒められた。


コンビニの時計が4時を回る。この時間帯になると、コンビニの入口に目がいく。「来て欲しいな。」という気持ちと、「来たら気まずいな。」という気持ちが入り交じり、自動ドアが開く度に、入口の方に目を向ける。そうしているうちに僕の仕事が終わる。


服を着替え、荷物をまとめ、僕は帰路につく。

そんな日が、鈴が来なくなった日からずっと続いてた。


家に帰り、家事などを済ませ、妹と母が寝た。僕は自分の部屋に行く。部屋の棚には、中学校で使った地球儀などが並んでおり、その片隅に買ってから1度も使ってないあのオルゴールが寂しそうに佇んでいた。

毎日、そのオルゴールを見る度に、鈴のことを思い出し、気持ちが沈む。1度、戸棚の見えないところにしまったのだが、一週間もしないうちに、何故か棚に戻していた。


そんな日が続いていたある日。

今日は昼過ぎぐらいからコンビニに学生が入ってきた。

「今日は新入生説明会だがなんだかで早く終わったんだよ。」

と、同級生の健吾が教えてくれた。

「で、俺はこれから友達とカラオケだ。」

と、笑いながら言っている健吾に、

「早く金欠になっちまえ。」

などと冗談を言うと、

「俺は倹約家なんでね。金欠にはなったことねーよ。」

と健吾は笑いながら返した。

「なぁ、健吾。」

と、僕は健吾を呼び止めた。

「どうした?」

「鈴の彼氏ってどんなやつ?」

と、僕は今までずっと気になってたことを聞いた。

すると健吾は、

「ほぉ〜、あの俊太郎が嫉妬ですか〜。」

なんて言いながらニヤニヤしてこっちに戻ってきた。

「うるせー。はよ教えろ。」

と、キレ気味で健吾にいった。

「はいはい。」

イラッとする笑顔のまま健吾は彼氏について教えてくれた。

「名前は坂本亮太。同学年でバスケ部のエース。イケメンで、スポーツ万能。オマケに優しいやつで、異性からの人気は半端じゃない。まー簡単に言うとモテ男だな。」

と、なかなか細かく彼氏ことを教えてくれた。

「ただ…」

と、健吾の声のトーンが少し下がる。

「ただ?」

と聞き返すと、健吾は俺に近づいて、

「あまり恋愛のことに関していい噂は聞かない。一説によると五股かけてるとか何とか…」

「んな奴が現実にいるわけないだろ。」

と、健吾につっこみをいれた。

「ま、あくまで噂だからな。」

と、言い残して健吾はかえっていった。


コンビニの時計が2時を回った。

今日は学生の客が多く、仕事量もいつもより多い。

ふと、僕はコンビニの入口に目をやった。

男女の2人組が店内に入ってくる。片方はイケメンで、いかにもモテ男。そしてもう片方は…

鈴だった。

僕はすぐに目をそらした。チラッと見たら、鈴は彼氏の横に隠れてずっと下を向いていた。

飲み物を買って、ふたりがレジに並ぶ。幸い隣のレジに行ってくれたので少しホッとした。

2人は肉まんを1つずつ買い、店を出た。鈴は1回も僕と目を合わせなかった。

2人はコンビニの前で、肉まんを食べていた。

仲良さそうにおしゃべりしながら肉まんを食べている。少し見えた鈴は、とても幸せそうな笑顔をしていた。それを僕はレジから眺めていた。


肉まんを食べ終え、2人は手を繋いでコンビニを後にした。僕は、鈴が幸せそうなのを見て、ほっとした。

凄い優しそうな彼氏だったな。あれなら鈴を任せられるな。と自分に言い聞かせ、僕は仕事に戻った。


家に帰り、いつものように棚のオルゴールに目がいった。僕はそのオルゴールをしばらく見つめたあと、戸棚の中にそっと閉まった。

学校が忙しくて投稿が遅くなってしまいました。ごめんなさい。これからはなるべくもっと早く投稿していくので、宜しくお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ