~16歳・冬~
東京だったら学校閉鎖になるレベルの雪が、青森では毎年降る。未だに雪になれておらず、足をもたつかせながら歩く僕の横を女子高生がスタスタと通り抜ける。なんという足のバランスなんだろうか。だからそんなに足が太いのか。と、勝手に考えながら僕はコンビニに向かった。
今日はボーナスが貰える日である。大人達はもう少しあとだが、店長が僕の家の状況と、働きぶりを見て、特別に、僕だけに別口でボーナスをやる、ということである。ありがたい話だ。
いつもの時間に鈴がコンビニに入ってきた。周りには男友達もいて、とても楽しそうである。ただ同時に羨ましく思い、鈴の隣にいた男子に少し嫉妬した。
「何じーっとみてんの?」
という鈴の声で我に帰り、
「何でもないよ」
と少し慌てて仕事に戻る。
「いつも頑張ってるね。無理しないでね。」
と優しい言葉を僕にかけて鈴はコンビニを出た。
「いつも頑張ってるね。」と鈴は言ってくれたが、いつも頑張れているのは、毎日鈴に会えるからという理由が大きい。
「なんか鈴に買ってあげるか…」
鈴からは毎日元気をもらっているが、僕は鈴に何してやれてない。せっかくボーナスが入るのだからいつものお礼に何か買ってやろう。
コンビニからの帰り、少し回り道をして、町に一つしかない雑貨屋によった。鈴へのプレゼント、何がいいかな。と思い、雑貨屋をうろうろしてたら、ふと、オシャレなオルゴールが目に入った。
どこの遊園地にでもありそうなメリーゴーランドの形で、馬の一つに男女のカップルが乗っている。ネジを回すとメリーゴーランドが回転し、どこかで聞いたことがあるクラシックの曲が流れた。
鈴と付き合って約1ヶ月後、僕達は初めてのデートをした。場所は二人で考えた結果、隣町の遊園地にすることにした。ジェットコースターやお化け屋敷に入ったり、二人でベンチに座ってアイスを食べたりして、楽しく過ごしていた。
最後にメリーゴーランドに乗ることになった。最初は二人で別々の馬に乗ろうとしていたのだが、閉園間際で、客の数が微妙だったので、
「あんたら、同じ馬に2人で乗りなさい。」
と、係員の人に言われ、同じ馬に乗ることになった。
「恥ずかしいね。」
と、頬を赤らめて言う鈴に、
「結構恥ずかしい。」
と、頬を赤らめながら僕は返した。
ものすごく人の目を気にしてはいたものの、僕はその時、とても幸せで、馬の動きが激しくなった時に、背中をぎゅっとされた時は、ビックリして馬から落ちそうになった。
メリーゴーランドが終わり、降りようとしたが、鈴はピクリともしない。
「鈴、鈴、降りるぞ。」
と、言っても反応がない。
鈴がはっと目を覚ました頃には、他の客は全員降りており、係員さんや、他の客が、じーっと僕らを見つめていた。鈴も僕も一気に顔が赤くなり、そそくさとメリーゴーランドを降りた。こうして僕は初デートを終えた。
そんなことを思い出しながらオルゴールを眺めていると、雑貨屋の店長らしき人が、
「よろしければ、お安くしますよ。」
といってくれた。
「あ、いいんですか。」
と僕が聞くと、
「とても気に入っているそうなので、良いですよ。」
と、優しくいってくれたので、僕はそのオルゴールを買った。
その夜、僕はどうやって、このオルゴールを渡そうかずっと悩んでた。なんて言って渡そうかずーっと悩んでいたが、結局、「ボーナス入ったからあげる。」ということにした。
翌日、オルゴールを持ってコンビニに行った。
鈴が来るまですごく緊張して、仕事をした記憶が全くなかった。
鈴が来た。しかし、どこか様子がおかしかった。
すぐに話しかけようとしたができず、鈴がレジに来るまで待った。
レジに鈴が来た。思い切って、
「どうかした?」
と、声をかけた。
「あのね…今まで言えなかったんだけど、私2週間前から、同じクラスの人と付き合ってるんだ。」
一瞬、鈴が何を言っているのかわからなかった。でも、何故か僕はすぐに受け入れてしまった。こんなに可愛いのだから、彼氏ができるのもおかしくはない。むしろなんで今まで出来ていなかったのか不思議なくらいだ。
「そっか。よかったじゃん。幸せにな」
と、なんとか笑顔を作って鈴と話した。
「ありがと。」
そう言って鈴はコンビニを出た。
帰り道、僕の片手には渡せなかったオルゴールがあった。このオルゴールどうしよう。今更渡せないしな…
などといろんなことを考えながら、僕は家に帰った。
その日の夜、僕は何も考えないように、すぐに寝ようとした。でも寝れなかった。
次の日から鈴はコンビニに来なくなった。
この話を書いてる間に、この作品これからを全部頭の中で決めました。あとは、文字にするだけです。最後まで読んでくれたら嬉しいです。




