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七十四話 VSゴブリン

※活動報告でも書きましたが、今日投稿出来ないかもしれません。

頑張ってはみますので、お待ちいただければ幸いです。

「ここが目的地であるサールヴァト森林です」


 アァルの案内で祐樹達がやってきたのは背の高い樹々に囲まれた森林だった。

 昼間だというのに、樹々が日の光を邪魔しており薄暗い。


「た、高~ッ!」


「凄いな。こんなに高い樹、初めて見るよ」


「……なんか薄暗くて怖いわね」


「フフフ~」


 龍平と祐樹は驚き、樹々を見上げ、瑞姫は警戒をし、由梨花は笑っている。

 アァルは祐樹達を振り返り、


「さぁ、武器の準備は宜しいですか?」


 そう聞いた。

 四人は今一度自分達の武器を確認してから覚悟を決めて頷く。


「宜しい。……では行きましょうか」


 それに満足したのか、アァルは笑みを深めると森へと踏み込んでいった。




 森の中をある程度進んだところで、アァルが一度止まった。


「ゴブリンやオーク達の身体が緑色をしているのは、主な生息地である森林では保護色だからです。故に、眼では発見し辛い場合があります。この場合は――」


 そう言って瑞姫と由梨花の二人を見る。


「魔術での索敵が重要です。……さぁ、何方か詠唱をしてみてください」


 瑞姫と由梨花は頷き、瑞姫の方が一歩前に出る。

 そして背負っていた杖を手に持ち、掲げる。


「じゃあ、行きます。――【索敵(サーチ)】!」


 杖から魔力の波動が放たれる。


「……!? 気を付けて! もう囲まれてるわ!」


 瑞姫が慌てた様子で叫んだのを聞いて、祐樹達は各々武器を構え、周囲を警戒する。

 そして風のヒュウヒュウという音のみが聞こえて直後――


「――ギャア!!」


 草むらから複数体の緑色の小さな鬼が飛び出してきた。

 その手には包丁や棍棒などが握られている。


「――来たか! アァルさん、下がっていてください!」


 祐樹は剣を強く握ると、アァルに叫んだ。


「はい。此方の事はお構いなく。これでも身を護る術は心得ていますので……ご存分に」


「わかりました! ……由梨姉、瑞姫はサポートを! 龍平は二人を守りながらゴブリンを倒してくれ! ――行くぞ!」


『ザ・ワールド・オブ・エタニティー』によって慣れているのか、大声で指示を出す祐樹。


「OK! 二人は下がってな――よっと!」


 縦横無尽に駆け、ゴブリンの攻撃を避けながら、龍平がゴブリンに向けて片方の刃を振る。

 刃は吸い込まれるようにして無防備に立っていたゴブリンを袈裟斬りにした。


「ギャアアアア!!」


 醜悪な悲鳴を上げながら倒れるゴブリンを無視して、違うゴブリンへと肉薄する。


「――らぁっ!!」


 龍平の一撃は、しかしゴブリンに防がれた。

 そして其の儘鍔迫り合いをするが、


「――たぁ!!」


 ゴブリンを横から祐樹が剣で貫いた。

 貫かれた場所から血が噴き出し、それが祐樹の顔に掛かる。

 ゴブリンから剣を引き抜く祐樹の表情は引き攣っており、必死さが伝わってくる。


「サンキュー祐樹!」


「ホント、役割はゲームと同じだよな!」


 二人はまるで”命のやりとりの重さ”から逃れる様に、無理して明るく話しながら再び戦闘を再開する。


「ギャィイイイイイ!」


「――ふっ!!」


 祐樹はゴブリンの振るった一撃を紙一重で躱し、体当たりの要領で剣を突き刺す。

 だが、その背後からゴブリンが襲い掛かってきていた。

 此の儘では避けられない。

 しかし――


「――【風の小刃(ウィンドカッター)】!」


 瑞姫の唱えた速度の速い風魔術の刃がゴブリンを切り裂いた。


「もう少しは後ろを気にしなさいよね! 【火属性(フレイム)付与(エンチャント)】!」


 祐樹に叫んだ瑞姫は其の儘次の術を唱えた。


「じゃあ私も――【防御上昇(レジスト)】~!」


 その隣に駆け寄った由梨花も同様に術を唱える。

 祐樹と龍平の持つ剣が火炎を纏い、二人の周囲に透明な防壁が現れる。

 それを待ってから、龍平は双剣を構え直し、


「――【速度上昇(スピードアップ)】!」


 補助魔術を使用し、速度を上昇させる。


「っしゃ! 行くぜ! ――ぉぉぉぉらあああああああ!」


 ゴブリン達の間を風の如く駆け、鎌鼬の如く回転しながら切り裂いていく。

 だが、何体か討ち漏らしていた。


「全く、残ってるじゃねぇか龍平の奴!」


 そう愚痴りながらも龍平が討ち漏らしていたゴブリン達を斬って行く。


「これで最、後っ!!」


「ギャアアアア!!」


 最後の一体の悲鳴が上がり、倒れる。

 既に付近には十数体というゴブリンの死骸が転がっている。

 周囲にはゴブリンはおらず、四人は漸くその肩の力を抜く。

 そこに、パチパチパチという拍手の音と共にアァルが近付いてくる。


「いや~お見事お見事。流石勇者様、まだこの世界に来て間もないというのに、無傷で終わるとは。……これならば盗賊の討伐も可能ですかねぇ」


「アァルさん! お怪我はありませんか?」


 心配する祐樹にアァルはにこやかに笑って返す。


「えぇ。貴方方のお陰で無事ですよ。さて、ゴブリンの処理は此方でやっておきます故、皆様は少々お待ちください」


 そう言うが早いか、慣れた手つきでゴブリンの耳を切り取り、袋に詰めて行く。


「あの……何してるんすか?」


 好奇心を隠し切れない様子で龍平が聞く。

 アァルは作業を続けながら、


「魔物を討伐したら証としてその魔物であるという証明になる部位をギルドに提出するんですよ。例えばゴブリンなら耳、オークなら鼻の一部とかですね」


 そう言い切るとほぼ同時に全てのゴブリンから耳を剥ぎ取っていた。

 アァルの剥ぎ取りは常人に比べて驚く程の早業であり、相当慣れていなければ不可能な速度なのであるが、当然祐樹達にはわからない。


「さて、今日はこれで終わりです。帰りましょうか」


 アァルは耳を入れた袋を腰のベルトに括り付け、立ち上がり祐樹達に笑いかけた。



改めて思ったけど七十四話にしてゴブリンが出てくるってどんだけ魔物と戦ってないんだ……。

いや、主人公が殺し屋って時点であれだけどさぁ……。

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