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六十五話 戦争終結

たった数話で戦争終わるとか……暁が強すぎるんだよ。

誰だこんな見せ場潰しのキャラ考えたのは(自分です)。

次は夜対アレンの戦いです。


 暁がアドノアを追い詰めている頃、俺はアドノア陣営より後方に広がる森林の中にいた。


「……」


 気配を殺し、足音を殺し、木から木へと移って行く。

 もう直ぐ日が落ちる。

 高い木々が生えた森はもう既に暗い。

 殺し屋や暗殺者(アサシン)にとっては最も有利に動く時間だ。

 俺が動くとしても、この時間に動くだろう。


「……っ!!」


 ほらな。

 ガサリと音を立て、木の陰から現れたのは全身黒色の服を着た”黒死蝶”の殺し屋だ。

 手元からナイフを取り出し、放り投げる。

 放たれたナイフは殺し屋の喉元に突き刺さり、絶命させる。

 だがまだこんなものではないだろう。

 調べたところ、少なくとも現状で三十人以上いるのだ。


「――死ねっ!!」


「――はぁっ!!」


「――はっ!!」


 新たに三人の殺し屋が影から現れる。


「……【ランベイズの毒殺魔(ポイズナーランベイス)】」


 スキルによって俺の身体自体を毒に変える。

 そして一人は投擲したナイフで殺し、一人は喉を掻き切り、最後の一人は後ろから近付き、身体に触れて毒で殺す。

 次々と現れる殺し屋を流れる様に殺していく。

 最初は嫌悪感を覚えた『殺す』という行為だが、いつの間にかそれもなくなってしまった。

 だが、殺し屋という職業上、そんな事を考える事など許されないだろう。

 二十三人程を殺し、俺は周囲を見渡し、


「……いるんでしょ。アレン」


「ケッケッケ! やっぱバレるか。不意打ちでもしてやろうと思ったのによ」


 十人以上の部下を従え、アレンが姿を現す。

 その笑みは獣の様に獰猛なモノだった。





「……兵を盾に逃げる、か。随分脆弱な人間だなアドノア王」


 大剣を突きつけ、暁はアドノア達を鋭い眼光で睨み付けた。

 その後ろには彼女が召喚した者達が従っている。


「き……貴様っ! 一人で敵陣に来るなど……」


 アドノアの隣にいる臣下が、暁を見てそう言う。


「私をっ! 私を守れ!」


 アドノアの声に、顔を引き攣らせながらも兵士達は武器を構える。

 兵士達の中でも実力のある者達はわかっていた。

 目の前にいる者が、自分達とどれ程の実力差があるのかを。

 だが、アドノアや貴族達は気付くことが出来ない。


「……フフフ、お前達など【神軍招来】を使うまでもないな」


 だが暁は寧ろスキルを解除し、召喚した者達を”八部衆”の内一体だけ残して消す。

 しかし、暁の纏う雰囲気はより一層鋭く、殺気立ったモノへとなっていた。


「……アドノア王は捕獲しろと言われているが、それ以外の者に対しては何も言われていない。――お前はアドノアを捕獲しろ」


 囲まれているというのに暁は嬉しそうに嗤い、後ろに控えた武人に向けて命じ、自分は大剣を上段に構える。

 鎧を纏った武人は頭を下げると刀を構えて敵陣へと突撃する。

 そしてそこからは一方的だった。

 残った兵士達を全員集めたというのに、暁には傷一つ付ける事が出来ない。

 彼女は返り血で全身を真っ赤に染めながらも、それが彼女を更に興奮させるのか、より残虐に、怒涛の連撃を繰り出していく。

 それは暁が”狂戦士(バーサーカー)”のクラスも持っているが故だ。

 血に塗れれば塗れる程、


「ク、クク、ハハッ――ハハハハハハハハハハハハ!! もっとだ! 足りん、足りんのだ! 鉄の音の響く、血に(まみ)れ、血の匂う戦場こそ我が居場所! もっと私を滾らせてくれ!」


 暁は普段の落ち着いた姿とは違い、狂った様に笑いながら大剣を振り回し、兵士達を屠って行く。

 その姿はさながら”鬼神”のようであった。

 たった一振りが空を割き、地を割る程の一撃だ。

 人の身で受けた兵士達は受けた武器ごと切断される。





「さて、残りは貴様等か」


 数分後、そこは地獄絵図となっていた。

 貴族達は腰を抜かしたのかへたり込んだ儘で身を寄せ合っていた。

 既にアドノアは武人に捕らえられている。


「ま、待ってくれ! 私達は陛下に従っただけなのだ!」


「そ、そうだ! 我々には何の責も――ぎゃああああ!!」


 暁に駆け寄り、懇願した貴族は言葉の途中で腹を貫かれて死んだ。


「言っただろう? 私の任務は『アドノア王を殺さず捕獲せよ』と言う事のみだ。それ以外は残念ながら任務外でね。……しかし貴様等の事は良く知っているぞ? クーデターに加担した挙句、権力と金で贅沢三昧していた屑だとな。これでも私はそんな屑が許せない質なのでね」


 暁は血の滴った大剣を右手に持ち、貴族達へと近付いていく。


「やめろ! ち、近付くんじゃない!」


「金だ! 金は払う! 命だけは!」


「来るな! 来るなぁ!」


 貴族達の声を無視し、一歩、また一歩と近付いていく。

 その度に、貴族達は悲鳴や嗚咽を漏らし、肩を震わせる。

 暁は貴族達を弄ぶかのようにゆっくり、ゆっくりと歩き、大剣の届く距離で立ち止まる。


「これからアドランド国は浄化されていく。そんな国にお前達の様な連中はいらんだろう。金と権力で肥えに肥え太った連中はな。だから――」


 暁は二ヤリと口が裂けんばかりに嗤い、









「――ここで死ね」


 そして剣は振り下ろされた。



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