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四十八話 対策

「……おぉ、夜か。済まないが待たせて貰っているぞ」


 廊下に出た俺の視界に映ったのは武装した暁だった。

 ……この脳筋!

 ホランドに掛かってた魔術に気が付かなかったのかこの野郎!

 内心そう毒づきながらも、俺は暁に近寄る。


「……暁。……このアンポンタン、オタンコナス、アホ」


「……なんだその古臭い罵倒は」


 思いつく限り(口から出る)の罵倒をし、通り過ぎる俺の後ろを半歩遅れて付いてきた。


「……やはり何か面倒事か。空気がざわついている」


 何でそんなことわかるんだよお前。

 エスパーか? エスパー〇藤か?


「……アドランド王、追跡されてた」


「……ふむ。やはりあれは間違いでは無かったのか。……なにやらアドランド王とホランド公を遠くから見張っている様な気配がしたのでな」


 ……やっぱ気づいてんじゃねぇか!

 役立たずな護衛だなおい!

 やっぱお前頭の成長胸と身長に取られてんだろ!

 その無駄にでかい胸切り取ってまな板にでもしてやろうか!


「……なにやら物騒なことを考えていないか?」


 ……いや、やっぱりやめておこう。

 逆にボコボコにされて終わりだし。

 ……チッ。


「……別に。……アドランド王は応接室、持って帰って」


「了解した。……ではな」


 そう言って来た道を戻って行く暁を見送って、俺は再び歩き出した。





 結局のところ、誰がアドランド王を狙ったのかは分からなかった。

 相手もそれなりにやり手らしい。

 正体を俺達に悟られない程度の実力はあるようだ。

 だから、俺達が出来るのは警戒を強める事だけだった。

 俺は広間に集めた”魔女の夜”本部に詰めている部下達を前にして言う。


「……街中に警戒の目を光らせる」


「「「――はっ!!」」」


 一斉に声を上げる部下達に頷く。


「……ザイール、ゼイ、ゴーシュ」


「――はっ」


「――おう!」


「――うっす!」


「……”蛇”、”狼”、”獅子”を動かす。……シュトルテンの街中だけじゃなく、街の外も……索敵」


「「「――了解!」」」


「……バージェット。”不如帰”、”渡り鳥”をアドランドへ派遣する。……それと同時に”魔女の夜(ヘクセンナハト)”設立当時まで遡って、私達に関わった人物全てを調べて」


「了解しました。お任せあれ」


「……じゃ、解散」


 俺の一言で、蜘蛛の子を散らす様にそれぞれの仕事に向かう部下。

 さて、俺はどうしようかね……。





「……ん、ぅん?」


 応接室でホランドが眼を覚ました時には、既に日が傾きかけていた頃だった。

 室内にはエドノア、暁、バージェットと名乗った”魔女の夜”の頭、そして無表情の銀髪紅眼の、まるで人形の様な少女であった。


「何故私は……眠っていたのか?」


「無事だったかホランド!」


 心底嬉しそうな顔で己を見る王に、ホランドは首を傾げる。


「あの、陛下、これは……どういった状況なのですか?」


 その疑問に答えたのは暁であった。


「ホランド殿、貴方は洗脳されていたのだ。……それも巧妙に、貴公にも、周囲の人間にも悟られないように」


「……洗脳? 私が? ……何故?」


 後ろに控え、状況を静観していたバージェットが


「貴方は()()にここに誘導されたのですよ。それが誰なのかは貴方も覚えておりませんでしょう。恐らくは()アドランド王の手の者でしょうが」


 そう言ってホランドへ【鑑定】を使う。


「……魔術反応無し。掛かっていた魔術は解けております」


 そう言って顔を向けた先にいるのは銀髪の少女であった。

 ホランドは彼女が関係者である事は理解したが、まだ覚醒したばかりの頭では推測する思考能力がなかった。

 故に、本人に訊くことにしたのだった。


「……そちらのお嬢さんは何方ですかな?」


「……貴方が面会を求めた方ですよ。この方こそ、”魔女の夜(ヘクセンナハト)”が長です」


 ”魔女の夜”の長――夜は、表情も変えず、ただジッとホランドを見ていた。

 そして一歩前に出ると、


「……依頼は、引き受ける。……準備がある。……明日また、来て」


 そう言うと、夜はバージェットを連れ、出て行った。





「……で? 俺にアドランドの王様達を匿って欲しいって?」


 その日の夜、俺が訪れたのはマグニフィカ次期国王であるべリオスの元だった。

 理由はアドランド王達の保護だ。

 マグニフィカの王宮の離れなら、部下達を潜り込ませるのも簡単であり、一番護るのに最適なのだ。


「……(コクリ)」


「で、俺のメリットは?」


「……次回、依頼の際、半引き」


「ダメだ。もっとまけろ」


 ……チッ。

 なら奥の手を出そう。


「……じゃあ各国の情報を回さない」


 マグニフィカ王国の持つ、他国の情報は全て”魔女の夜(おれたち)”から齎されたモノだ。

 俺達が持つ情報があってこそ、マグニフィカ王国は周囲に優位でいられるといっても過言じゃない。


「はぁ!? ……分かったよ。その条件で良い。……金は全てが終わったらアドランドから取るとしよう」


 がめつい奴だ。

 それでもお前王族か?

 ……ま、良いや。


「……明日、連れてくる。……ヨロシク」


「おう。了解」


 そうして、夜は更けていった。




……新しい作品を明日投稿します。

ハーレムモノにはなるべくならないようにしますが、異世界転移の男主人公モノを投稿しようと思います。

……三話しかストックしてませんが(汗)。

見切り発車ですが頑張って投稿していきたいです。


新作投稿いたしました。

此方も宜しくお願いします。

『ラッキーパンチにご注意を? ――超ラッキーなアンラッキーボーイの異世界転移生活記――』

http://ncode.syosetu.com/n5246dz/



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