三十話 到着&調査開始
いつの間にやら三十話。最長記録ですな。
まだ続きますので、よろしくお願いします!
※指摘がありまして、修正させていただきました。
初代性教皇→初代教皇
……多分『聖女』か『聖教皇』って打ちたかったんだと思います。
寝ぼけてたのかなぁ……。
「ようこそ、エッフェンベラ教国へ。アナタにも聖神の加護があらん事を」
国境にある入出国管理所で、出自を確認され、俺はエッフェンベラに入国した。
ここからエッフェンベラの首都、トリコロへは、急いでも三日は掛かる。
……あ、今変装しているから言葉使いは普通だぞ。
今の俺は『冒険者レギン』と言う名前の若い男の冒険者だ。
体格も声も、魔術で前世の俺の姿に変えていた。
ギルド――と言うよりはギルドマスターである暁――から『行方不明者の捜索』の依頼を受けた……と言うていである。
周囲には同じように冒険者の格好をした、俺の秘書であるオリヴィアを筆頭に”鴉”達数名。
主な任務は俺と”梟”、暁達との連絡役である。
さて、エッフェンベラ教国と、宗教の事を語っておこう。
エッフェンベラ教国、その歴史はマグニフィカ王国より少し新しい。
当時から、神の降りた土地と言われていたトリコロ、そこを占拠するかの如く、神を崇める信徒達が国を作った、と言うのがこの国の成り立ちだ。
崇める神は聖神と言われる神なのだが、教国以外では崇められているのはごく一部だ。
大陸……というか『ザ・ワールド・オブ・エタニティー』での宗教は基本的に多神教で、大雑把に言ってしまえば日本と同じだ。
なので、貿易や国の入出に関して厳しかったりはしないが、何処か他国との壁を持っている。
それに、一本化されている訳でもなく、幾つかの宗派が存在しているらしい。
多くを占めるのは『神を崇め、敵(魔物)には罰を、隣人には慈悲を』という現教皇を筆頭とする初代教皇の名を冠する”ユル派”だ。
その他、穏健派だったり、過激派だったりと枝葉の様に宗派が分かれていた。
数日後、首都トリコロに到着した俺は、先ずは情報を集めることにした。
”鴉”達にはトリコロでの情報収集を頼み、俺は実際に遭遇した人の話を聞きに行くことにした。
行先はトリコロから離れた、行方不明者の出た森からほど近いアデヴェールと言う土地だ。
主に狩猟や農業を生業としている人々が生活している。
トリコロから丸一日使って来た俺は、アデヴェールの、とある村にやってきていた。
そこで、俺は村長から話を聞こうと、村長の家を訪れた。
「……お待たせしました。村長のルターと申します。此方が娘のイヴァ」
頭髪が禿げかかった、白髪の老人が娘と共に頭を下げ、俺もそれに倣う。
「ギルドから依頼で来ました。レギンです。宜しくお願いします」
村長は、俺が女である事や、変装していることには気付かぬ儘、話し出した。
「……我々の中では”神の敵”と呼んでおりますが、襲われた者を呼びましょう。イヴァ、マルティンを呼んできてくれ」
村長の指示に、イヴァと呼ばれた村長の娘が駆け足で出て行く。
暫くして、イヴァに付き添われて部屋に入って来たのは片足が無く、腕を包帯で巻かれた体格の良い男だった。
「……ある日、ジャン――俺のダチが森に狩りに行ったっきり戻ってこなくてさ。それで、噂を聞いた俺は斧と弓矢を持って探しに行ったんだ。狩りに行くと目印を付けるんだが、その目印を頼りに奥に入って行ったらさ、俺のダチの服の一部と靴、連れてった猟犬が残されてたんだ。
で、犬を連れて更に奥深くに行ったらさ。……いたんだよソイツが」
マルティンの顔色が真っ青になり、身体が震え始める。
「……上半身は人間なんだけどよ。下半身が……蠍だったんだ。ソイツがさ、俺の方を見て、涙を流しながら『助けて。助けて』って言葉にならねぇような声でよ、襲い掛かってきて……それっ、それで俺は逃げたんだ。必死こいてよ。犬が……犬が俺の代わりになって死んじまって。……命辛々逃げて来たんだ」
そう言って「うぅ……」と唸り、頭を抱えて嗚咽を漏らすマルティンと、それを悲痛な表情で見る村長父娘。
「嫌な事を思い出させて済まない。最後に、それがいた場所を地図で示せるか?」
「……あ、あぁ。……多分ここだ」
そう言って、俺が差し出した地図を見て、村の位置からは離れた場所を指さす。
「……わからなければ目立つように目印がある。木に大きくバツ印が付けられてる。頼むよ。ダチを……見つけてくれ。死んでたとしても、其の儘じゃ可哀想だ」
そう言って涙を流したマルティンに、俺は「任せろ」と頷いた。
村中に噂の真偽や内容を聞いて回った俺は、その足で森に向かった。
変装は既に解いていた。こんな場所では他者と会う事も無いだろう。
「……あった。……次はこっち。……あった」
先程言われた目印と、地図を元に、マルティンの友人がいなくなった場所を目指していく。
森はもう直ぐ夕暮れだが、まだ日が昇っていると言うのに、背の高い木々によって日光が阻まれ、薄暗く、草も生え放題で鬱蒼としている。
俺は地面ではなく、木の枝を足場にして移動していた。
「……次はあっち。…………見つけた」
俺が見つけたのはボロボロの衣服、そして片方だけの靴。
そして、何かが歩いたであろう跡である千切れたり、踏まれたりした草木。
細かく見れば、血の跡もうっすらと残っていた。
黒く変色した血、それがこの後に起こる事を表している様だった。
現在、新しい作品を既にいくつか三話ずつ位書いてるんですけど、いまいちピンとこないんです。
誰か案下さい(切実)。
例えばヒロインが一人のモノがいいだとか、ハーレムモノが良いだとか、能力者モノが良いだとか、バトルモノが良いだとか云々……。
案を下さった方には金一封をプレゼント!(嘘)
ま、そんなお金があるなら自分で使いますけどね。