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二十七話 新たな事件

あー……難産だった。

えっと、二章の始まりです。


 某国、辺境の地。

 お供を引き連れた法衣の男が、服に汚れが付かないように細心の注意を払いながら、深い森の中を進んでいた。

 そして暫くして、木でできた簡素な小屋に辿り着いた。


「……全く、どうにかならんのか。汚くてかなわん」


 法衣の男が心底嫌そうな顔で小屋の扉を潜る。

 そして後から入った従者が小屋の床の絨毯を退ける。

 そこには扉があった。

 従者がそこを開けると、石階段が地下へと続いていた。

 法衣の男は、光る魔石を使った魔灯篭を持った従者を先頭に地下に降りて行く。

 下からはカチャンカチャンと金属を鳴らす音と何者かが唸る声。そして獣臭い臭い。


「……おや、猊下。先触れを出して頂ければ此方から窺ったのですが」


 地下にいた、小太りの温厚そうな男が法衣の男に向けて頭を下げる。

 こんな場所には相応しくなく見える。


「構わん。此方の方が色々バレ辛いからな。……で、出来はどうだ?」


「えぇ。まぁ、ただ頭の出来は悪いですよ。ただ本能の儘に暴れる連中です」


 法衣の男と小太りの男は、檻の中を見て薄気味悪く笑う。


「……ぅう。……ヴ、ぁう。……たズげデェ」


 檻の中から、獣の様な、人の様な言葉なのかと疑う様な醜悪な声が聞こえてきた。





「……ふぅ。終わったな」


 若い冒険者が剣を振って血を拭う。

 周囲は高い樹に囲まれている


「お疲れ様。いやー簡単な依頼で良かったな」


「全くだ。まぁゴブリンなんてたかが知れてるだろ」


 冒険者仲間達も次々と集まってくる。

 言葉の通り、彼等の周囲には数多くのゴブリンが血塗れで死んでいた。

 彼等は依頼を受け、辺境にまでやって来たのである。

 依頼達成の確認の為、ゴブリン達の耳を切り取っていると、森の奥から何かが草木を掻き分けてやってくる音がする。


「何かこっち来るぞ。皆、気を付けろ!」


 武器を構える彼等の前に音の主が姿を現す。

 その姿に、彼等は――


「――なっ!?」


 呆然としてしまったのだった。





「何だと? もう一回言ってくれるか?」


 マグニフィカ王国王都シュトルテン。

 その冒険者ギルドのギルドマスター専用の執務室で、転生者の一人である暁は驚きの声を上げた。

 その目の前で、部下の一人が報告をし直す。


「エッフェンベラ教国に依頼に向かった冒険者パーティーが依頼達成の連絡をして以降、連絡もなく、また帰還していないのです」


「……その冒険者達のランクは?」


「はい。……Aランクですね。余り人の入らない森での依頼でしたから、高ランクの冒険者を向かわましたが、依頼内容自体はゴブリン及びホブゴブリン等の全滅という程度の簡単なモノです」


 冒険者、ハンターのクラスは決まっている。

 上からS、A、B、C、D、Eの六クラス。

 上に行くほど実力は高いが、人数は減っていく。

 ギルドマスターの暁がSクラスであり、事実上、Aランクの冒険者はトップクラスの冒険者と言える。

 それ程の実力を持っていた人間が消えたのだ。

 何が起こったのか、調べる必要がある。


「原因は調べてあるのか?」


「はっ! なにやら、教国内で猟師達を中心に、とある噂が広まってました。森の中で”異形”を見たと」


「異形だと?」


 人が殺せそうな程の眼光で部下を睨み付ける。

 それに対して、部下は若干焦りながらも答える。


「はい。人のようで、そうでないとか。『人の上半身に蜘蛛の下半身がついた化け物を見た』と言うのもありましたね。現地の人間曰く、『人に擬態し、誘い出して喰らう化け物』と」


「……そうか。報告ご苦労」


 暁の言葉に、一礼し、部下が出ていく。

 一人になった部屋で、暁は考えていた。


「……『人に擬態する化け物』……か。何か臭うな。調べるとしよう」


 暁は、連絡用の魔道具を手に立ち上がり、部屋から出て行った。





近々新しいのを投稿しますので、そちらもよろしくお願いします。

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