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二十六話 エピローグ 一件落着

……すいません。

投稿が遅くなりました。

 数日後、インクセリアで、ヴァイスの即位式は盛大に行われた。

 王都の大通りを巨大な台車に乗り、パレードをしている。

 俺等『互助会』メンバー(フランチェスカは除く。アイツは殆ど領地から出ない)は遠くからその光景を見るだけであるが、唯一べリオスは友好の証として出席していた。

 同時に、マグニフィカ国と貿易での協力等の条約を結び、友好国となった。

 ヴァーガニア国とは和解し、マグニフィカ、インクセリアの三国で同盟を結んだ。

 ……これで出入りが楽になるなぁ。国境警備も緩くなるだろうし。


 更に、この場でヴァイスとマグニフィカ第一王女の婚約を発表。

 二人で仲の良い様子を見せていた。

 ……仲睦まじい事で。ケッ。


 しかし、こうして見ると、本当に物語の主人公みたいだな。

 ジャンルは恋愛ゲームかなぁ……。

 その割に出会いが今までなかったみたいだけど。

 ま、一ルートしかない恋愛ゲームだと思えば……いや、無理があるか。

 なんにせよ、これで終わったわけだ。

 遠目から、民衆に手を振るヴァイス。

 ……幸せそうににやける顔を見て、少し、イラっとした。

 よし、後で弄ろう。





「今回は助かった。改めて礼を言う」


『互助会』の本部で、ヴァイスは『互助会』メンバーに頭を下げた。


「気にするこたねぇよ。こっちに被害が及ばねぇようにしたかっただけだからな」


「……いやいや、まるでWEB小説の令嬢モノを見てる感じだったぜ」


 それにべリオスと、他人事の様に言うコウリンが答える。

 二人とも、机に頬杖をつくなどして、完全にリラックスしている。


「……興味ないわ」


 その光景を見ても表情を変えないフランチェスカ。

 ソファに深く座り、酒の入ったグラスを傾けている。


「……稼ぎ時だと思ったんだがなぁ……」


 がっかりといった様子で肩を落とすローガン。

 それに加え、珍しくゼイも来ていおり、快活に笑っていた。


「カッカッカ! いやいや、戦争なんて起こらん方が良いだろうさ」


「……ゼイさんって、一応は傭兵だよね?」


 ゼイの態度に苦笑いを浮かべるハルキは相変わらず女にしか見えない。

 それを見ていたヴァイスは、夜の方を向いて頭を下げた。


「特にお前には世話になった。有難う」


「……(コクリ)」


 夜は席に座った儘、頷くことで返事をした。

 その表情は無表情であるが、雰囲気的には「別に」といった感じである。

 不愛想な態度であるが、人を引き寄せる不思議な魅力を持っていた。

 今更ながら、ヴァイスは目の前に座っている少女の容姿に眼がいく。

 サラサラの銀髪に、炎の様な紅い眼、細いながらも筋肉の付いた均整の取れたしなやかかつ蠱惑的な身体。まるで虫を誘い喰らう食肉花のようで――、


「――ゴクリ」


 思わず唾を飲み込んだ。

 だが、


「――ハッハッハ! やっぱお前もそう思うよなぁ」


 べリオスの声に、思わずビクリと肩を揺らし、ヴァイスの方を不機嫌そうに見た。

 それに対し、べリオスは肩を竦めた。


「おいおい。そう睨むなよ。……お前も()()と同じ反応だったから、自分と重ねたってだけさ」


「……反応?」


「あぁ、俺等『互助会』メンバーの男メンバー、その全員がお前と同じ反応したんだ」


 ヴァイスは、周囲の男メンバーを見渡す。

 コウリンやローガン、ゼイ、その他ここにいる男メンバーが眼を逸らし、複雑な表情を浮かべた。

 その反応を見ても、ヴァイスは首を傾げるばかりである。


「……どういうことだ?」


 べリオスが、笑みを濃くして言う。


(そいつ)、男だぜ」


「――はっ?」


 べリオスの言葉に、ヴァイスは呆けた声を上げた。

 それに対し「()ね!」と、何故か女性陣が猛烈に反論したのだが、当人である夜は「興味ない」とでも言うかの様に、常備してある酒をちびりちびりと飲んでいた。






 ……どういう状況だ。


 俺は、飲んでいた酒が空になったので、新しいのを調達しようと周囲に視線を向けた時には、既に『互助会』本部は混沌と化していた。

 俺も既に十本程飲み切っていた――この身体は状態異常が効かないのだが、『酔い』も状態異常に入っているらしい――のだが、俺の周囲には更に多くの空き瓶が無造作に転がっていた。


「だからぁ! 前世でやったゲームに似てたからぁどうにかなったわけでぇ! 俺自身王の器じゃないってのはわかってるんだよぉ! だって俺普通の高校生だったし! 王族の教育なんてわかるかってのぉ!」


 円卓上になっていた机で、ヴァイスが何やら叫んでいた。

 ……アイツ、泣き上戸だったのか。

 オロオロと大粒の涙を流してダンダンと机を叩いている。

 ……色々あったんだな。


「……ぐぅー」


 べリオスはその隣で突っ伏して寝ているのだが……何故に上半身脱いでるんだ。

 暑かったのか? それとも露出狂なのか?


 更には部屋の隅でゼイとローガンが未だに呑んでゲラゲラと笑っている。

 その手に持っているのはワインや洋酒に使うグラスではなく、徳利で……待て、それ高かった奴!


 ……Noooooooooo!!!


 しかも、俺が持ち込んだ中でも、別大陸にある日本によく似た土地から高値で取り寄せた最高級の奴じゃねぇか!

 日本円に換算して一本十万円以上だぞ! あとでチビリチビリと呑もうと思ってたのに!

 あぁ、涙が出るぜ。

 ……まぁ、泣くなんてことはこの身体じゃあ出来ないんだけど。


 そしてコウリンとハルキはのんびりと呑んでいるからか、二人で喋っていた。

 折角なので、俺も混じることにした。


「……私にも一杯、頂戴」


「お、夜か。アルコール度数の高くないカクテルだけど良いか?」


「……ん」


 俺はザルだが、前世ではカクテルばかり飲んでいた。

 そこまでアルコールに強い訳じゃなく、アルコール度数の低いやつを少し呑んだだけで顔を真っ赤にしていた。


「夜、これどうぞ」


 ハルキがカクテルを注いでくれた。

 それをゆっくりと呑み始める。

 そして改めて周囲を見渡し、ある光景が目に入った。


「……どうしたんだ? 夜――むぅ」


 俺が何を見ているのか気になったのか、俺が見ているモノを見ようとして、バタリと机に突っ伏すコウリン。そしてほぼ同時にヴァイスも机に突っ伏す。

 別に酔いつぶれたわけじゃない。俺が気絶させたのだ。

 ……危ない危ない。

 俺は再び、ソファに目を向けた。

 そこでは、


「まだまだ呑み足りんな」


「そうね。この際だから倉庫にある分全部呑んでしまいましょう」


「じゃあ最初はこれにしましょうか」


 着ていた衣服が脱げかけ、肌色の面積がとんでもないことになっている女三人衆がいた。

 ……あの痴女共め。何処で飲んでいるかわかってんのか?

 ……まぁ男共が男として見られていないのか、こいつ等があっけらかんとしているのかのどちらかだろうけど。

 隣でハルキも苦笑いしている。

 ハルキは元女だからな。大丈夫だろうと言う俺の勝手な判断だ。

 別に他意はないぞ?


「……どうしよっか、夜?」


 ……いや、どうしようって。

 この女共(バケモノ)は止めらんねぇよ。


「夜! ハルキ! こっちに来て一緒に呑め!」


 暁がそう言ってくる。

 俺とハルキは眼を合わせ、逃げようとした瞬間、


「逃がさないわよ」


「私達の相手をなさいな」


 ――あ、終わった。




もう一本新しい話を投稿したいんですけど、どっちにしたらいいのか……。

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