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一話 転生前のお話

ブックマークありがとうございます!

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「……ぅん」


 小鳥の囀りが聞こえる中、眼を擦って起き、伸びをする。

 聞こえてくる声は鈴の音の様だ。

 うん、朝日が眩しい。

 取り敢えずはベッドから起き、部屋においてある姿見鏡で自分の()の姿を見る。


 肩までの少し癖毛な銀髪、炎の様な紅色の眼、モデルの様にスラッとした白い肌の身体、そう()である。

 ……え? 一人称が違うんじゃないかって?

 いや、まぁそうなんだが、これには訳があるんだ。


 昨日調子に乗ってた馬鹿なハゲを頭と心臓を突き刺して殺したのは俺だ。

 それは間違いない。


 俺の一人称が『俺』なのは俺が前――前世が男だったからだ。

 手入れなんざ一切していないのに綺麗な肌と整った顔立ち、大きいとは言えないが形が良いと自負している胸……非常に違和感があると自分では思っているが、わかってくれ。男が急に女になったんだ。違和感があるに決まっている。


 ……話が逸れたな。

 事の始まりは五年ほど前になるのだが、まぁ少しばかり昔語りをさせてくれ。





 俺は、元々は杉浦悠夜(すぎうらゆうや)と言う二十五歳の普通の男だった。

 別に太ってたり、逆に痩せすぎていたりしていた訳じゃない。

 いたって普通だ。……まぁ半分引き籠りみたいなものではあったけど。

 友人と共同でネットショップやら広告収入やら、他にも色々とやって収入を得ていた。

 なので、別に無職なニートだった訳ではない……と思いたい。

 それなりに金銭を得て暮らしていたわけだ。


 しかし、別に俺は仕事人間だった訳でもないわけで、ゲームもやっていたし、アニメも見ていた。

 課金もしたし、寝る間も惜しんでやっていた事もある。

 その中で最も嵌っていたのが当時、開発されて間もなかった、仮想現実空間で過ごす、所謂VRMMORPGだ。


 そのゲームの名前は『ザ・ワールド・オブ・エタニティー』。

『現実世界で出来なかった事を仮想現実空間で』をコンセプトに、『リアルさ』と『自由』を追求したゲームで、世界初のVRMMORPGであったことから、大人気で、プレイヤー数はオンラインゲームとしては異例と言われる程に多かったと言われている。

 中世に似たファンタジーの世界観で、プレイヤーは性別、種族、容姿、職業を決める。

 初期に選べる種族は”人間”、”エルフ”、”ドワーフ”、”ハーフオーガ”、”ハーフエルフ”、”獣人”等々実に様々、更に職種も普通のオンラインゲームよりも圧倒的に多かった。

 プレイヤーによっては冒険者になってギルドに所属して魔物と戦ったり、商人として商店を経営したり、騎士として仕えたり、普通に住人として穏やかに暮らしたり、勿論暗殺者や盗賊等の裏家業として生きる等、コンセプトの『自由』に恥じぬ自由さと、リアルさがプレイヤーを増やしていった。

 魔物は勿論、プレイヤー同士の戦いも推奨され、ギルド戦も多く行われた。

 実際に、あまりのリアルさに、現実とゲームの世界をごっちゃにして殺傷事件を起こしてしまったなんてのも数少なかったがあった。


 最初、俺は”男性”、”人間”、”冒険者”を選び、昔からの友人(リア友、つまりは身内)で和気藹々とやっていたタイプで、レベルも友人達と会わせながらゆっくりやっていた。

 だが、互いに成人はとっくに過ぎ、会社で働く友人もいたことから、時間は取れず、実際にはそこまでレベルは高くなかったし、何方かと言えば設定を作って、それにそってキャラメイクをするタイプ(例えばとある防具のみを装備するとか、覚えるスキルを限定する等)だった為、どうにか課金で強くなっていたのだ。





 閑話休題(ところで)

 例えばRPGとかでサブデータを作る際、皆はどうしているだろうか?

 俺は女性キャラクターを選ぶことにしている。

 理由としては気分転換であったり、男として若干邪な考えもあったりなかったり……ゲフン、まぁ色々ある。


 で、サブデータとして作ってたのがこの(よる)と言うキャラクターである。

「切り裂きジャックが女性だったら」をコンセプトに、当時ガチャで手に入れることが出来た超レア武器『ジャックのナイフ(ジャックナイフ)』を得ているのが前提で、職業(クラス)”レジェンドアサシン”を持ち、尚且つ【状態異常スキル】が最大レベルであり、さらに性別が”女性”であると言う偉く面倒な手順で貰える特殊称号”切り裂き(ジェーンザ)ジェーン(リッパー)”を頑張って取った。

 更にはキャラメイクの際に課金をする事でなれる”デミゴッデス”を種族にした――のだが、この”デミゴッテス”、種族値は人間と同等と言うメリットが一切ない「運営どうした?」なハズレ種族である。

 まぁせっかく手に入れたから”デミゴッテス”にしているが。


 ぶっちゃけ言うならば、称号の会得の難しさからメインデータよりも時間と金を掛けており、周囲に合わせているメインデータよりレベルは全然上であり、レベルランキングにも乗ってしまうくらいにはやった。


 うん、わかるぞ。

 メインじゃないじゃんと言う言葉は甘んじて受けよう。

 時間としては八割方サブキャラを育てていたと言っても過言ではない。


 まぁ、五年前、俺がこの世界に転生してくる直前もこのゲームをやっていた訳だ。

 でだ。俺が女の身体(こんな事)になってしまったのは、自称”神様”のせい……お陰? なのだ。





……もう一方も頑張って更新しないとなぁ……。

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