表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
映し鏡と現世の!  作者: イノタックス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/18

第3話 探索と、遭遇と。

「お友達、ですか」

「ええ。お願いできますか?」

「もちろんです!」


居間に入り、つい数十秒前に訪れた『招かれざる客』の説明をし終え、ただ今の経過時間、およそ2分。

さすがに新庄たちに説明しきれない、ということを伝えると、滝宮さんは2階の俺の部屋に隠れることを了承してくれた。


階段を上がり、俺の部屋の扉を開ける。


「すみません、俺の部屋なんかに隠れることになってしまって。他の部屋は掃除してないんで、2階ですぐに使える部屋はここしかないんですよ」

「わ、私は気にしませんけど……」


そうは言われても。


「さすがに、俺が気にしてしまうので。では、なるべく早めに色々と済ませてきますので、気になる本とかあったら読んでいてください。……漫画しかないですけど」

「は、はい!」


返事を確認してから、部屋の扉を閉め、1階へと階段を下りる。

──よし、これでばれないだろう。


◆◆◆


玄関の引き戸を開け、新庄たちの様子が特に変わっていないことに安堵しつつ、家へと招く。


「おっじゃましまーす!」

「うるさいな! ボリュームを落とせ!」

「お、お邪魔します……!」

「まだ少し散らかってますけど、どうぞ」


裃さん、なぜか少し緊張気味。

学校でも少ししか話したことないから、変に固くなっているのかも。


「先に居間に行っていてください、飲み物持っていきますので」

「あ、おかまいなく……調子悪くないかな、と思って来ただけなので、お邪魔でしたらすぐに帰りますけど……」

「いえ、そんなことはないですよ。心配してくれてありがとうございます」


……なんだろう、すごい罪悪感。

調子悪くなんてないです、と言おうとも思ったけど、もっと面倒くさそうなことになりそうだったので、やめた。

休んだ理由を、新庄がしつこく訊いてきそうだし。にやけながら。


「この季節にぴったりの、爽やかなお茶をお願いするぜ!」

「はいはい、麦茶持っていくから、居間に行ってろ」


新庄たちを居間へ行かせ、俺は台所へ。


◆◆◆


「しかし、お前が体調悪くするなんてなぁ。俺の知る限りじゃ、そこまで身体弱くはなかったと思うんだけど」

「偶然だろ、狙って調子崩したわけじゃないぞ」

「ま、そりゃそうか。──つーか、元気そうじゃん」

「朝はかなり酷かったけどな。さっきまで寝てたら、かなり良くなったんだよ。でもまあ、大事を取って学校は休んだけど」


……うん、嘘を吐き続けるのって、案外面倒くさい。

直前の発言と矛盾していないかとか、ホントにひやひやする。


「あ、そうそう。忘れないうちに……ほらよ、プリント」

「サンキュー、マジで助かった。えっと……げ、数Aのテスト範囲、若干広くなってるな」

「数Ⅰも広くなってるぜ。勘弁してくれって話だよな……」

「だな……」


男二人で、深い溜息を吐く。

文系には辛いのだ、こういうのは。


「そういえば、裃さんは文系と理系、どっちに進むんですか?」

「あ、私も文系です」

「じゃあ……!」

「はい。範囲広くなると、大変ですよね」


よかった、俺と新庄だけじゃなかった。

──と、『カラン』と氷が解ける音が響いた。


「ありゃ、もう麦茶無くなっちまったな。ちょっと待っててな、今取ってくるから……って、あ」

「ん? どうかしたのか?」


そういえば、さっき淹れた麦茶で、作ってあった麦茶は終わったんだった。


「悪い、麦茶終わったから、自販機で飲み物買ってくる」

「あの、大丈夫ですけど……」

「すぐに買ってきますので、待っててください。それじゃ、留守は任せたぞ新庄」


棚の上に置いていたカバンを持ち、居間の扉を開ける。


「おう! あ、俺はコーラで頼むわ」

「はいはい。それじゃ、行ってくる」


廊下に立ち、居間の扉を閉め、玄関へと向かう。


◆◆◆


「あの、新庄君」

「ん、なに?」

「その……橋月君に、迷惑かけてないかな、突然押しかけちゃって」

「ああ、全然気にしなくていいよ」


むしろ、気にしたらあっちがより気を遣ってしまう、というか。


「橋月の奴、変なところで律儀だったりするから、こういう突拍子もない行動をしたりするんだよ」

「でも、調子悪かったんじゃ」

「ああ、そのことだけど……多分あいつ、調子悪くなんてないよ」

「──え?」


ぽかーん、とする裃さん。

うん、やっぱり気付いていなかったらしい。


「な、なんでそう思うの?」

「簡単な話だよ。あいつは、『どこかへ出かけるような服装をしていた』でしょ?」

「──な、なるほど」


あんな外出用の服装をしているのは、明らかに不自然だ。


「薬を買いに行ったから、とかじゃないの?」

「それはないと思うよ。あいつ、『さっきまで寝てたら良くなった』って言ってたし。薬局は朝早くには開いていないし、そもそもあいつは風邪薬を薬局では買わない。医者に行って、自分にぴったりのものを処方してもらう、って言ってたからね」

「よ、よく知ってるんだね、橋月君のこと」

「そこそこ長い付き合いだから、話す機会があったんだよ」


──さて。


「そうなると、おかしなことが出てくる。『なんであいつは嘘を吐いてまで、学校を休んだのか』ってことだ」

「何か用事があった、ってことだよね」

「ああ、そうだ。サボるような奴じゃないからね。で、さっき外にいた時に、あいつの部屋のカーテンが揺れたのが見えた。探す価値があるとは思わないか?」


今の俺、間違いなくにやけているだろうな。

仕方ないだろう。こんなこと、今までなかったんだから。


「ま、まずいと思うよ……」

「大丈夫だよ。何もなければ、また居間で待機してればいいんだから。さ、そうと決まれば早速、2階に行きましょう!」


立ち上がり、居間の扉を開け、階段へ。

俺の後ろを、扉を閉めた裃さんが、付いてくる。


◆◆◆


「コーラと、お茶2本、あとは……コーヒーでいいか」


適当に見繕って、買い終える。

さて、と。


「そろそろ帰らないと、まずいよな」


探されてしまったら、絶対に見つかってしまう。



「帰ったぞ……って、あれ?」


扉を開け、居間に入ったが、なぜか二人はいなくなっていた。

──と、『ガタッ』と小さな音が、2階から聞こえた。


「──嘘でしょ?」


まさか……いやいや、そんなまさか。


「……気のせいでありますように!」


急いで階段へ向かい、駆け上がる。



俺の部屋へ到着、──したのだけど。


「なるほど、橋月の親戚ねぇ」

「は、はい、そうなんです!」

「よろしくね、鼎ちゃん!」

「よろしくです、水留さん!」


えっと。


──一体どうなってるんですか?


◆◆◆


『映し鏡と現世の!』

 第3話 『探索と、遭遇と。』


◆◆◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ