表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
映し鏡と現世の!  作者: イノタックス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/18

最終話 映し鏡と現世の!

「新庄君たち、鼎ちゃんと会ったの!? ……いいなぁ」


午前11時10分。

クーラーの効いた居間で、1か月ぶりに橋月宅を訪れた裃さんが、羨ましそうにそう言った。


「昼食はみんなで食べるんでしょ? それまでの辛抱だよ」

「そうだけどぉ……むむむ」


よっぽど滝宮さんに会いたかったようだ。


「2階にいるのだから、会いに行けばいいじゃないか」

「……あのな、鏡の世界の俺? 好き合っている二人の時間を、邪魔はできないだろ?」

「──そう言われてみれば、その通りだな」


鈍感もここまでくると、個性のような気がしてくる。

俺と同じ顔でそういうことを言うのは、やめてもらいたいが。


「じゃあさ、君たちは二人でいなくてもいいの?」

「あら、現世に出てきてたのね、鏡の世界の私」


久しぶりに見たな。いやまあ、姿かたちは裃さんとまったく同じなんだけど。


「面白そうな話をしてたからね! で、どうなの? どうなの?」

「邪魔とは思ってないわよ。……それなりに、二人きりの時間はあることだし」

「きゃー! ラブラブ? もしかしてラブラブ!?」


こういう無邪気さに限っては、子供っぽいんだけどなぁ。


「ま、まあ、それなりには……」

「それなり! それなり──ってことは現世の私と新庄君って、どこまでいってるの!?」

「結局細かく聞くのね」


『子供のように無邪気に』答えづらい質問を投げかけてくる、鏡の世界の裃さん。

──結局、一連の騒動は、すべてこの子の思い通りになった気がする。

なんか悔しいので。


「秘密ってことで」


するりと逃げることにする。


「ずるい! 教えてよ~」

「秘密なのよ、鏡の世界の私♪」

「現世の私まで!?」


裃さん、ナイスプレー。


「なんで教えてくれないのー!?」

「日頃の行いだろ」

「鏡の世界の新庄君まで!? 私が何をしたっていうのよー!」


土曜日の居間に、嘆きの声が響き渡った。


◆◆◆


「1階が騒がしくなってきましたね」

「たぶん、鏡の世界の裃さんが来たのかと……」

「ああ、なるほど」


新庄二人と裃さんだけではここまで騒がしくならないと思ったら、そういうことか。


「じゃあ、1階に行きましょうか」

「そうですね」


フローリングの床に敷いた座布団から立ち上がり、自室の扉を開け、廊下に出る。

滝宮さんも出たので、電気を消し、扉を閉める。



俺の前を歩く滝宮さんが、何かを思い出したかのように振り返り、俺の目をじっと見つめて。


「今度は、しばらく、じゃないですけど」

「はい?」


一呼吸置き、再び言葉を発する。


「また、厄介になりますね♪」

「──はい」


それは、夏に出会った時の言葉。

ならば、と俺も覚悟を決めて。


「滝宮さん」

「なんですか?」


きっとこれは、言わなくてもいいことだけど。

でも、言っておきたいことなのだ。


「ずっと、俺の傍にいてくださいね」

「はい!」


──満面の笑顔で、即座にそう返してくれた。

ああ、やっぱり俺は──この人が、好きだ。

きっとこの先、何があっても、この想いは変わらないだろう。


「ずっとずっと、一緒ですよ♪」


◆◆◆


俺たちは、同じ存在だ。


生まれた経緯こそ違えど、それは変わらない。


──だから。


世界を越えて、一緒にいよう。


一緒に、生きていこう。


◆◆◆


『映し鏡と現世の!』

2016年7月21日~2016年12月17日


──おしまい。


◆◆◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ