第7話「二人ならやれる」
「リルム、大丈夫だよ。次は俺がお前を助ける」
どうやらここに来て厨二病を発揮したらしいな。
「シュン様…。」
リルムは潤んだ瞳で俺を見つめる。
まずい。
リルムが可愛すぎる。この絶体絶命の環境の中で俺は何を言ってるんだ。
サイクロプスに負けたら俺、いや、俺たちはゲームオーバーなんだ。
「様いらないから、普通にシュンでいい。敬語も使わないでくれ」
「グオォォォォォォ!!」
俺たちの会話に入ってくるかのようにサイクロプスが轟く。
どうやらここからすぐの場所にいるらしい。
「わかりました。シュン助けるとは逃げるということですよね。」
あ。ばれた。
まあ逃げることはかっこ悪いことではない。
「そうだが?」
「申し訳ありません。さっき逃げている時に足を負傷してしまい、走れそうにありません。」
俺は足に目をやると、ぱっくりと切れていることがわかり、今でも血が流れ出ている。
なんで、俺はこんなことにも気がつかないんだ。
「俺が連れて行く。」
「ダメです。シュンの身体はもう限界に達しています。今立っているだけでも危ないのですから。」
確かにそうだな。
ならチャンスがあるとしたら一発か。
どうやってあのでかいのを一発で仕留める?
やはり、この聖剣を使うしか、でもこれはレプリカの剣なんだ。
そんな攻撃力もない。でもやらなきゃ死ぬ。
「俺が勝ってみせるよ」
俺はこの剣に念じた。
俺らを守ってくれ、この聖なる加護よ。と。
「でもその身体ではサイクロプスには勝てません。さっきもボコボコにされていましたし」
ぐはっ。
またも口から血が出たではないか。
やっぱボコボコにされたって思われるよな。
まあ仕方ない。この状況をくぐり抜けたらこの世界について聞いて、俺のことについて話せばいい。
いやあ、さっきのダメージは精神的に来たぜ。
「男ってものは、負けられない戦いがあるんだよ」
なーに。また俺はかっこいいことを言ってるんだ。
一回負けた人が言ってるから全然かっこよくねえよ。
リルムは俺に呆れたのか、下を向いてしまった。
俺には作戦がある。
一人ではできない戦術であるのだ。
サイクロプスは一人。俺たちは二人。
どうせサイクロプスは、脳筋なのだから、目先の事しかわからない。
逆にその心理を使った作戦だ。
「俺に考えがある。まずサイクロプスは一人だ。俺たちは違う。怪我をしてはいるが二人だ。一人がおびき寄せ、もう一人がその木の上で待機、そして俺のこの剣を目に刺す。これでサイクロプスがひるんでいるうちに剣を抜き両足を切る」
これは、俺の好きなゲームでのモンスターと戦う時の戦術であるが、これは効果的なはずだ。
「なるほど。では私がおびき寄せます」