第6話「銀髪の少女」
「なるほど。名前を聞いてもいいか?」
「私の名前はリルム・スターシャです。あなたは?」
えーと。名前は光崎絢介こうさきしゅんすけと言うんだが、この世界では多分伝わらないよな。
光崎といえば…光つまりライトだな…よしブライトでいこう!
絢介は…あだ名が絢だったからシュンだな!これだ!
「俺の名前はシュン・ブライトだ。リルムでいいか?」
「はい。素敵なお名前ですね。シュン様って呼びますね」
いつもなら、喜べるのだがこの状況であるため喜べない。
そういえば俺には武器があったはず。
「武器を取りにいきたいんだが、さっき来たところに戻れるか?」
正直なところ鉄製のレプリカの剣ではサイクロプスに勝てる気がしないが。
俺はあの剣を、使えば何かが起こると期待していた。
「グオォォォォ!」
サイクロプスの声が森の中に響き渡る。
あまり近い位置にはいないようだ。
「リルム、案内してもらっていいか?」
「はい、時間がないので急ぎましょう。」
リルムについていきながら先ほどサイクロプスに攻撃されたところへと戻る。
緑の草に俺の血であるだろう赤が映えている。
そしてそこから俺が目覚めた場所へと戻る。
草原の中に武器ケースがぽつんと置いてある。
「持てるのですか?」
「ああ、持てるよ」
俺は武器ケースを持ってサイクロプスと先ほど戦ったところに戻る。
木の茂みに隠れて武器ケースの中に聖剣と魔剣が入っているのを確認した。
使いやすそうな長剣である聖剣だけをとりだす。
魔剣と武器ケースはこの場所においておくことにした。
「な角笛を吹いてくれないか?」
「そんなことしたらサイクロプスが来てまた同じことが繰り返されます。ましてやもう、シュンは身も心もボロボロです。勝てるわけがありません」
「大丈夫だ!」
俺にはこの聖剣があるんだ。
「シュン様、私怖いです。」
リルムは涙ぐみながら、俺の腕にしがみつきながら震えている。
そういうことか。さっきの震えは。
俺を連れてる時は本当に怖かったんだよな。
俺なんか知らない人を見捨ててれば助かっていたのに。
わざわざ自分の命を懸けてくれてまで俺を助けてくれたんだ。
今度は俺が助けたい。
助けるって言っても俺がリルムを抱っこして逃げることしか思いつかないが。