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第31話「ヤツの名はゴブリン」

狙いは頭なのか?

このままじゃ殺される。

そう思った俺は咄嗟に剣を投げ捨てて腕で十字を作り頭を守った。

そして怪物は体全身を使い大きく棍棒を振り回した。

怪物のトゲトゲした棍棒が左腕の前腕の骨に強く当たる。

それと同時に言葉に表せないほどの痛みが俺を襲う。


「うおおおおおおおお!!」


サイクロプスの攻撃も痛かったけどこれはこれで痛すぎる。

体長は地上から俺の胸ぐらいしかないのに体に合わないほどの怪力を持っているな。

この怪物の正体を俺はファンタジー系のゲームをしていたおかげでしることができた。

こいつはゴブリン。

おふざけが好きで意地の悪いのが特徴的な妖精だったけか。

そして俺はゴブリンに応戦しようと落ちている剣を左手で取ろうとする。

ん!?

左手に力が入らない。

これは折れたな。

左腕からポタポタと血が流れて地面に垂れる。

ゴブリンの方に目をやるとゴブリンは致命的なダメージをもう一発当てようと飛びかかってくる。

相手は野生の生物なんだ。

目の前にいる敵を排除しようという野生の本能で動いているだけ。

サイクロプスの時はなんで勝てたんだ。

落ち着いて考えろ。

ゴブリンは両手で棍棒を持ち大きく振りかぶった。

その瞬間俺は小学校の頃体育の授業でやっていた後転を繰り出す。

棍棒は俺に当たらず地面に強く突き刺さる。

棍棒が地面にはまったまま抜けない様子のゴブリン。

やっぱり間抜けだな。

棍棒を持っていなければ赤子同然なのではないか?

よしっ……今だ!

俺は素早くゴブリンに近づき右手を思い切り渾身の力を込めた右の正拳突きを放った。


「くらえええ!」


ゴブリンは棍棒から手を離し、俺の拳を片手で掴んだ。


「何!?」

「ゴブ!」


ゴブリンは意味のわからない言葉を口にしてシワで目が細くなるほど笑っていた。

ふざけるな。

ゴブリンってこんなに強いのかよ。

蹴るのはあんまり得意じゃない。

てか蹴ったことないけどやるしかない。

俺は斧を斜め上から叩き込むように左から蹴りを入れる。

ゴブリンは俺の右手を離して足のバネを利かせて空へと飛び上がる。

空へと上がったゴブリンに対して俺も空高くジャンプをする。

なぜ俺がこのように飛んだのかはわからないが人間本来の本能ってやつが出たのであろう。

獲物を逃さないというな。

ゴブリンは腰に巻いた布から石でできたナイフを取り出す。

ここは空中だぞ?

まさかゴブリンの野郎この至近距離でそれを投げてくるというのか?

どうすりゃいい。

高く飛びすぎて地面に着くまで時間がかなりあるぞ。

何か魔法のようなものが使えれば……。

あ。そういや俺は魔法が使えるようになったんだった。

ゴブリンは空中でピッチャーが取るようなモーションに入る。

なんなのこれ。

ゴブリンは重力とか無視できる能力があるの?

頼むよ神様。

ゴブリンが俺にビビってナイフを投げるのをやめさせてくれ。

右手を前に突き出し灼熱の炎を頭で思い浮かべる。

手のひらから幾何学模様の魔法陣が出現する。


「出でよ!ファイア!」


喉や額に筋を立てて思い切り声を張り上げる。

ゴブリンは万歳と言わんばかりに両腕を上に上げ手からナイフが滑り落ちる。

目をぎょろっと見開いて動きが静止した。

ナイフは何度も回転をしながら地面に刺さる。

ゴブリンの股間の部分から黄色い液体が滴り落ちる。

まさか…漏らしたのか?

魔法陣からぼっとマッチ一本程度の炎が出る。

ゴブリンはとてつもなく強い魔法が出ると思って失禁したんだろうな。

マッチ一本程度の魔法でも怪物には勝てるっていうことが判明したな。

ゴブリンは空中から落ちていき強く頭を打った。

俺もパタリと地面に両足で着地をしてゴブリンに近づくと岩に打ち付けられて死に果てる魚のようにピクピクと痙攣していた。


「痛っ」


左腕は俺の肩に吊り下がっているようになっていた。

また怪我して帰るのか。

あんなに大口を叩いておいてゴブリンにやられたって言ったら笑われそうだ。

それにしても痛い。

治癒魔法が使えればこの痛みもなくなるんだよな。

ゴブリンの方に目をやるとゴブリンの姿は消えていて鉄鋼石のようなものが落ちていた。

サイクロプスの時も鉄鋼石みたいな石が落ちたな。

これはなんなんだ?

石を拾ってそれを眺めた。

サイクロプスの時の石とは違いゴブリンが落としたのは綺麗な緑色をした石であった。

これはなんかに使えるのかな。

まあいいや。置いておこう。

どうせゴブリンの鉄鋼石なんて価値ないだろ。

左手を負傷したままもう一匹のゴブリンと戦う事になったら今度こそ負けそうだ。

まあこれで俺のこの世界での実力がわかった。

俺はゴブリンより少し強いくらいなポジションにいるな。

納得はいかないが仕方ない。

いや待て。俺は武器を使っていないぞ?

そういうことか。俺は武器を使わないと強くない系の主人公ね。

落ちた聖剣を拾い、使えない左手をぶらぶらとさせながらジャングルを後にした。

ジャングルに出る際、ある事に気がついた。

あ。魔剣探すの忘れてた。

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