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第27話「約束」

扉の前に来た時ゆっくりと息を吐いて深呼吸をする。

この部屋にリルムの弟がいるんだよな……

手を伸ばして扉を開き部屋へと入っていく。


「失礼します」


部屋に入ると仕切りに覆われているところがあり、その仕切りにはカーテンのようなものがつらされていてその中が見えないようになっている。

そしてその仕切りのカーテンにリルムの後ろ姿の影が映る。


「リルム?」


俺が入ってきたことに気がついたリルムは仕切りを開けて俺の方へと近づいてきた。

リルムとの距離が30センチほどになった時俺の右手を取り両手で握ってきた。


「シュン……私……もう辛いです……」


リルムは涙ぐみながら唇を噛み締めて言った。

徐々に俺の手を握る力が強くなっていく。

何て言えばいいんだよ……。

心臓が握り締められているような苦しい感覚に襲われた。


「そういう話については何も触れないでくれ」


ガルドフが先程言った言葉が頭をよぎる。

ゲームとかアニメとかの悲しい場面は少し苦しくなるだけなのに目の前でそれが起きるとこんなにも辛くなるのか。


「リルム……大丈夫俺ーー」


突然リルムは握った手を離して俺の脇下に両腕を通して肌を寄せた。


「シュン……シュン……」


リルムの目からぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。

これまでに辛い思いばっかりしたんだ。

幼い頃に両親を殺められて、自分の大切な弟まで失いそうになっている。

まだ会って間もないとはいえど、そんな悲しい過去を持ってる人に対して感情移入しないわけがない。

俺にだって悲しい過去は数え切れないほどあるさ。

同級生からの嫌がらせを受けたことだったり、何年も好きだった女の子に振られたことだってある。

そんな俺の悲しい過去なんてリルムの悲しい過去に比べればちっぽけなもんだ。

リルムを助けたい、苦しい思いをさせたくないという気持ちで胸の中が一杯になった。

俺は無意識にリルムを強く抱きしめていた。

リルムの涙は止まらずに流れ出ている。


「辛かったよな。俺がずっとそばにいる」


右手でリルムの頭を優しく撫でながらそう言った。

かっこつけるなと言われても構わない。

リルムのそばにいてあげたいってのが今の本当の気持ちだから。


「あ……ありがとう。もう私は大切なものを失いたくないんです……」

「俺がリルムの大切なものは全部守る。冗談は言うけど嘘はつかないから信じてくれ」

「シュン……約束」


リルムは俺の体から両腕を離して小指を立てた。


「おう。約束だ」


俺も小指を立ててリルムの小指と絡ませた。


「指切りげんまん嘘ついたら針千本のます!ゆーびきった!」


リルムは片方の人差し指で目をこすりながら涙を拭いて絡まった指を外した。


「シュン……。私の弟のアルフを見てもらえますか?」


そういえば俺はまだリルムの弟を見ていなかった。

この仕切りの中にリルムの弟が?


「ああ。挨拶をまだしてないんだ」


リルムは仕切りの前に立ち、両手でその仕切りをつかんでザッと音を立てて開く。

ベッドに顔がやつれて目がうつろな少年が苦しそうに寝ている。

口は常に半開きで目でその苦しさを訴えていた。

髪色は脱色された白髪。

呪いをかけられたから…こんな姿に。


「私の弟のアルフです……」


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