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第23話「はじめての魔法 2」

もう一度アニメなどでよくある激しい炎を思い浮かべた。

突然握り拳が光り始めた。

光の量が増えていき、俺の手からそれが放たれた。

俺は手で目を覆ったが閃光で視界が奪われた。

なんだこれ。

やっぱ俺って魔法適性大アリなんじゃないか?

てか眩しくてなんも見えない。


「リルム!なんも見えない!」


視界が奪われ落ち着けなくなった俺は手さぐりをした。

ふっくりとした柔らかいものが手のひら全体に張り付くような感触がする。

俺はその張り付く感触に吸い込まれたかのように何度も掴んでは離してを繰り返した。

柔らかいな…まるでマシュマロみたいな‥?


「あっ…シュン…そこは…」


色っぽくも艶やかな声が俺の理性を刺激する。

次第に視界は安定してきて、俺が何をしてるのかを理解した。

どうやら俺はリルムの胸を揉んでいたらしい。

ふっくらしてて触り心地最高でした。

右手と左手を重ねて頭を下げる。


「あ、ごめん。これは不可抗力で」


顔を上げてリルムを見てみると眉毛を斜めにして、すごい喧騒でこちらを見ていた。

バシンッとシンバルを大きく鳴らしたような音が家の中に響き渡る。

左ほっぺがジンジンして痛い。

本日3回目ですよ。

2度ある事は3度あるっていうのはほんとだったのか。

左頬を何度かソフトにタッチしてみると大きく腫れているのがわかった。


「あの、リルムさん?」


「なんですか?変態さん!」


俺に一切目を合わせず腕を組んで怒っている様子のリルム。

なんでそんな怒るの。

ほんとに今回は悪気がなかったんだって。

誰にだって間違えはあるよ人間だもの。

でも最終的に触った俺が悪いよな。


「その…ごめん」


「わかりました。ちゃんと、そういう関係になってからそういう事はしましょうね」


へ?今なんて?

そういう関係になったらこの白髪美少女のリルムさんとそういうことできるの?

それはたまらないですわ。

異世界ってやっぱ最高なのかもね。


「シュン。その顔気持ち悪いです」


俺は自然と頬に満足そうな笑いのシワがにんまりと刻まれていた。


「リルムが変なこと言うからだろ」


「あ、さっきのはシュンのことが好きとかじゃなくてですね!えーと!なんでもないです!」


リルムは自分の言ったことが恥ずかしいのか顔を赤らめて何を言ってるのかわからないほど早口で言った。


「シュン!魔法の話に戻りましょう!」


リルムは椅子に腰をかけたので俺もそれと同様に椅子に座った。

あー。

異世界で美少女と、こんな話をするのは最高なのに。

現実でこんなこと話したら捕まりますから俺みたいなやつの場合はね。


「わかったよ。じゃあまず2つ説明してもらおうか」


「はい」


俺が不思議になってるのは2つあるんだよ。

まずなんで激しい炎なんてイメージさせたのか。

もう1つ、いきなり俺の拳が光りだしたのは何故なのか。

今思ったんだけどさっきの光って目くらましに使えそうだよな。

まあさっきの光の出し方はよくわからないのが現状なのだが。


「なんでイメージをさせたんだ?」


「魔法とはイメージから出来ています。激しい炎をイメージすることにより魔法陣からイメージを具現化してそれを出すことができるのです。ですがシュンは魔法陣の出し方を知らないため、魔法がどこから出ればいいかわからなくなり体からその熱が出たというわけですね。」


要するに現実でいう妄想か。

いやいや、熱すぎて焼けるかと思った。

普通に考えて、魔法陣の作り方が優先じゃないのか。

リルムにはそれなりの考えがあると思うのだが。

ほんとうは俺のことを殺そうとしてるのではないか。

命の恩人に対して俺は何を言ってるんだ。

俺にとっては魔法のことに関して聞いても一層謎が深まるだけであった。


「それって魔法陣が作れない俺にとってはかなり危なかったんじゃないか?」


「普通に知性のある生物なら誰にでも利き手に魔法陣があるものですので、魔法陣ぐらいはあると思っていました。すみません」


相当俺ってこの異世界だとゴミ性能なの。

誰にでもあるものが無いなんて相当ショックだよ。

謝られてもこっちが困りますし。

申し訳なさそうにしているリルムを見つめた。


「気にしないでくれ。じゃあ魔法陣の作り方を教えてもらっていいか」


「先ほど右手に集中させてくださいって言ったのが作り方でして、先程言ったように本来は魔法陣は作るものではありません。」


???

すまん。まったく何を言ってるか俺には理解できない。

作り方があるのに作るものではない?

矛盾してはいませんかね。


「ごめん。まったく何を言ってるかわからない」


「魔法陣がないということでシュンの利き手である右手に集中させました。右手に魔力を集中すれば無理矢理でも魔法陣ができるのではないかと思い、そうやって言いました」


やっと理解できたぞ。

本来の生物には魔法陣があるのだが、俺にはそれがないという例外であったから右手に魔力を集中しろと言ったのか。


「てことは魔法陣がもう俺にはあるのか?」


さっきいきなり俺の手が光りだしたのは魔法陣がでるようになったということでいいのか?


「さっき突然光りだしたのはシュンの魔法陣が作られたからだと思いますので、もう魔法陣が出ると思います。」


なるほど。

やっぱりそういうことだったのね。

てことはもう魔法が出るってことなのか。

さっきリルムは石ころだのシャンプーだの火しか出せないとか言ってたよな。

魔法陣がなかったから魔法適性がないと感じただけなんじゃないか?


「治癒魔法の魔力物質を試しに出してみてください」


まあ頭にシャンプーを思い浮かべて右手に力を入れるだけだ。

深呼吸だ。

ここまで説明してもらって魔法が出なかったらほんとにまずいことになる。

俺は深く息を吸い、右手を前に出した。

頼むぞ。

手のひらを上に向け、シャンプーボトルから流れ出るシャンプーを思い浮かべた。

すると手のひらの上の空間に白い線で六芒星の描かれた魔法陣が浮かび上がってきた。

うおお。

俺の心の奥底からこの魔法陣に対する高揚感が燃え上がってきた。


「うおお!すげえ」


魔法陣の中から液体状の魔力物質が流れでた。

シャンプーが…いや、魔法ができた。

凄い。凄すぎる。


「シュン。それが髪を洗ったりなどする基礎の治癒魔法です」


「すごい。凄すぎるぞリルム!」


俺は椅子から立ち上がり両肩に手をおき、リルムの肩を揺さぶった。


「シュン…」


何かを訴えるような目で俺を見つめている。


「魔法ができるようになったんだ!ありがとう!」


俺が肩から両手を話すと、リルムの左肩に液体状の魔力物質が付着していた。

綺麗な服にシミのようなものが俺のせいでできていた。


「あ。ごめん。」


「大丈夫です」


左肩についた魔力物質をハンカチのような布で拭くリルム。

うーん。

これはあとで洗濯板でゴシゴシと洗って綺麗にしておくか。


「その服新しいのにごめんな」


「大丈夫です!それよりも私はシュンが魔法を使えるようになったのが嬉しいので」


なんていい子なんだ。

次は頭の中で燃え盛る炎のイメージをして右手に魔法陣を出現させた。

リルムはその魔法陣を見て眉毛を少し斜めにして不思議そうな顔をしている。

ボッ。と音を立ててマッチ一本程度の火が魔法陣から出ている。

え。これが俺の限界の魔法?

さすがにな訳ないよな。

でも微量ではあるが火が出た。

これは凄い。

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