第19話「この世界の住人はどうしてるんだ・・・」
そういや、着替えとかはどうなるんだ?
寝巻きで異世界転移したとか、シャレにならないだろ。
普通はチート武器とかチート防具があるはずだろ?
まあそれがないなら俺はこの世界で1人しか使えない技があるとかさ。
決して筋肉質などと言えない身体が鏡にうつる。
さすがに何日も同じズボン履いてたらおかしい。
俺は背の高い漆うるしの塗ったような箪笥たんすに手を伸ばした。
箪笥の中を見てみるとフカフカなバスタオルだけが置いてある。
まあここにあるわけがないよな。
いや!別に俺はリルムの下着がないかとか確認したわけではないんだ!
「リルムー」
俺がそう言うと扉の向こうから足音がした。
「なんでしょう?」
「着替えがないんだけどどうすればいいかな」
「今お持ちしますね!」
お。てことは俺の着替えをよういしてくれてたのか。
どんな着替えなのか淡い期待をしながらリルムが来るのを待った。
「シュン。扉の前に置いておきます」
俺は扉越しにいるリルムに向けて話しかけた。
「わざわざありがとう。まだ聞きたいことがあるから風呂出たら聞いていいかな」
「はい!」
その返事が聞こえたあと俺は風呂場に向かった。
足場は大理石のようなものからできていて、風呂は釜のような風呂であり、五右衛門風呂のようであった。
蛇口もあるし、異世界の風呂ってのは前いた世界と同じなのか。
「寒っ。」
言おうとし
てないことが反射的に口からこぼれる。
蛇口をひねり桶一杯にお湯を注ぐ。
ばしゃん。と音を立てて身体にかけた。
「いたっ!!」
お湯が傷口にかかり、また、電気が流れたような痛みに襲われる。
一人芝居してるみたいで恥ずかしいな。
てかシャンプーないんだけど。
この風呂場を見渡してもどこにもシャンプーなどといったものは見当たらない。
あるのは浴槽と桶と蛇口と窓と扉のみ。
これは聞くしかないか。
「リルムー!」
俺がそう叫ぶと、俺が話すのを待ってたかのようにすぐ返事をする。
「どうしました?」
風呂場のドア越しから声がする。
「シャンプーがないんだけど」
「シュンプーってなんですか?」
いやいや、この子天然なの。
どう考えてもシュンプーなんてないでしょ。
「シャンプーだよ。シャンプー!」
「シャンプーってなんですか?」
ちょっと待って。
この子はシャンプーも知らないのか?
てことは美少女なのに髪とか洗ってないわけ?
二次元の美少女のイメージが変わってしまうよこれは。
異世界系は、かみをあらわないのか?
「髪を洗うやつだよ!まってくれ、洗ったことがないのか?」
「失礼な!髪を洗わないわけがないです!」
「じゃあなんで、シャンプーを知らない?」
異世界の子は難しいね。
日本から海外に行ったらこんな感じで自分が知ってる言葉も伝わらないんだよな。
海外一度は行ってみたいと思ったけど大変そうだしやめておこう。




