表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/37

第17話「また明日」

「シュン大丈夫ですか?」


俺はベッドの上で寝ていた。

リルムは俺の左手を両手で掴んでいた。

俺を掴んだ手は、とても冷たくて柔らかかった。


「ああ、ごめん。俺は一体…。」


何が起きたんだ。

暗闇の世界から生還してきたんだが、よくわからないことだらけで頭が痛いな。

リルムの頬はすこし赤く涙袋がすこし膨らんでいた。

俺はリルムの顔を見てふと安心した。


「いきなり倒れたんですよ。昨日の疲れが原因で貧血に。」


そういうことか。

さっきの世界は俺の夢の世界ってことか。

夢にしては、不快な夢だったな。

今は呼吸も乱れてなどなかった。

俺はベッドから立ち上がり、リルムに向かっていった。


「ごめん、また心配かけて」


するとガルドフは、ぼりぼりと自分の髭を掻きながら話した。


「出血多量による、貧血だな。興奮させてすまない。今日はゆっくり休むんだ」


だからさっきから頭がクラクラしてたのか。

確かにサイクロプスの戦闘の時、いろんな所ぶん殴られて血だらけになってたから仕方ないな。


「あ、はい。申し訳ない。」


俺がそういうとガルドフは、笑いながら家を出ようとした。


「遅くなったから帰るとするよ。じゃあシュン君は良く休んで。明日でもリルムと一緒にうちに来なさい。」

「今日もありがとう。明日はシュンと早朝から向かいます!」


ガルドフのことを見ているリルムの顔は、とても幸せそうでその表情はずっと見てても飽きないと思った。

変態じゃないからね?

断じて変態じゃないから!


「また明日。ゆっくり話そう。リルム、シュン君おやすみ。」


ガルドフは右手を上にあげ、木の葉が風に揺られるように手を横に振った。


「おやすみです。明日もお願いします!」


俺がそういうと微笑んでこくり。と頷いた。

ガチャッ。

リルムの信用していたおじさんは本当にいい人だなってことがわかった。

俺もいつかガルドフさんみたいにリルムに心から信じてもらえるときが来ればいいな。

リルムがちらちらとこちらを見ているので、俺はリルムを見つめた。


「リルム。改めてありがとう。ほんとにあのままの状態で放置してたら貧血どころか出血多量で死んでたよ。」


リルムの顔は、徐々に赤くなっていき、やかんのように頭から煙が出ているように見えた。

リルムは素直になられるのに弱いってことがほんとにわかる。


「え、あ、そんな、私はなにも…。えっと…」


頬を赤くして下を向く姿に俺は惹かれた。

素直になれない可愛さに心底惚れそうになったことは誰にも言わないけど。

そろそろふろにはいりたいよな。

実質昨日はサイクロプスのせいで入れてないし、女の子の家に来てるんだから清潔じゃないとダメだろうが。


「リルムって可愛いね。」


俺は心で思った言葉を口にしてしまった。

なにを言ってるんだ俺は。


「可愛い?私が可愛い?可愛い。可愛い。」


リルムは顔を赤くしてロボットのように、口だけを動かして俺を見つめていた。

喜んでいるのか、嫌がっているのか、女慣れしてない俺にはわからないんだが。


「リルム。大丈夫?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ