第13話「リルムの家」
「この家はリルムの家だよな?」
「そうです」
こんなこと言っていいのかわからないけど一応言ってみるか。
「親はいないのか?」
俺がそう聞くとリルムは一瞬悲しい目をした。
「いません」
どうやら俺は聞いてはいけないことを聞いてしまったらしい。
「ごめん」
気まずい状況が続いた。
俺はその時あるものを目にした。
リルムの後ろにある木製のタンスの中からピンクと白のストライプの下着が飛び出していた。
下着可愛いの履いてるんだな。
「どこを見ているのですか?さっきから私の後ろを見てますけど」
リルムはそういった後、後ろを振り向いた。
いや、おれは悪くないはず。
俺は悪くない!
自分の下着が飛び出していることに気がつき、無言で下着をタンスの中に戻した。
そうするとリルムは、顔を赤くして涙目でこちらを向いた。
「シュンのばかっ」
ほっぺを膨らませて言った。
なんだこの破壊力は。
見た目とのギャップが凄すぎる。
これをギャップ萌えというのか。
てか、なんて返せばいいんだ。
あの気まずい状況から別の意味の気まずい状況になった。
どうするどうする。
リルムの反応に対して俺が無視しているということになる。
俺は咄嗟に言葉を返した。
「可愛いパンツだね」
バシッ。
あれから一時間が経ち一切会話がない。
俺のほっぺが真っ赤に染まっていた。
今もじんじんしている。
デリカシーのない男だと思われただろう。
そういえば、俺はいつまでこの家にいていいのだろうか。
「シュン、ご飯ができましたよ」
ちょうど腹時計がなっていた時だった。
「今行く」
俺がテーブルに座ると、リルムはクリームシチュー、パン、雑草のような葉、水を置いてくれた。
雑草のような葉はできるだけ食べたくない。
そう、俺は野菜嫌いなのだ。
まあどうでもいいか。
思ったのだがなぜリルムは俺にここまでするのだ。
薄情な人なら倒れてる俺を見捨てて自分だけ逃げるだろうな。
「ご飯までもらって申し訳ない」
「気にしないでください。私は助けられた身ですので」
いやいや、助けられたのは俺でしょ。
主人公補正があると思って守ろうとしたら、なんも補正がなくてボコボコにされただけなのにな。
リルムがいなければ俺はサイクロプスに殴り殺されてたし。
「俺が助けられたんだよ。正直簡単に勝てると思ったんだけどな。」
リルムは椅子から立ち上がり、顔を赤くして興奮気味で言った。
「命の恩人じゃないですか!シュンがいなかったら私は薬草を摘みにいって死んでいました!」
なんていい子なんだ。
しかもこんなに可愛い女の子に言われてみろ。男なんていちころだろ。
少しにやけているのを隠しながら言った、
「じゃあお互い様だな」
リルムは椅子に座り、こちらを見てにこりと笑った。
「そうですね」
俺は暖かいシチューのようなものを飲んだ。
ん!!??
美味しい!?
口に入るまでは普通のシチューと同様であると思っていたのだが、口に入るとシチューの甘さと胡椒のようなスパイスが絶妙にマッチして絶品の料理と言える。
それと一番のスパイスは前の美少女ね。
「旨っ!これはまさに洞窟奥に存在する宝箱や!!」
俺はどこか聞いたことのある台詞を口にした。
「シュンは言うことが面白いのですね」
また褒められてしまった。
現実非リア男が美少女に褒められまくる異世界は最高だ。
ビバ異世界とでも言うべきか。
まてよ。
なぜこの美少女が危険のある森林へ?
なんか魔法っぽいのは使ってたけどさすがに勝てそうにないよな。
「そういや、なんでリルムは森林に行ってたんだ?いくらなんでも女一人じゃ危険すぎるだろ。」
リルムの笑った表情が一転し、口元は少し笑っていたれど目はとても悲しそうにしていた。
きっとそれはリルムにとっての気遣いだったのだろう。
「少し暗い話になりますがよろしいですか」
これは、まずいことを聞いてしまったな。
でも。ここでいきなり「暗い話は駄目!!」とか言ったら最低な奴だよな。
突然のことに戸惑いながらも言葉を返す。
「ああ、どんなことでも俺でいいなら聞くよ」
先ほどとは違った暗い雰囲気がこの部屋に漂った。
「先ほども言いましたが私には父親と母親がいません。私達家族は四人家族で、私には弟がいました。父と母は、私が幼い頃に税を取り立てに来る帝国軍に殺されました。
帝国軍は税を納めても気に食わなければ人を殺していました。」