第11話「戦士の起床」
周りを見ると俺の部屋ではないことに気がついた。
身体全身に電流が流れるような痛みが走る。
「シュン。よかった。」
リルムは俺の手を握って涙ぐみながら言った。
俺はその時、胸のどこか深いところで何かが締め付けられた。
「リルムこそ大丈夫なのか?」
俺を握る手が少しずつ強くなっていった。
「私は大丈夫です。三日間も寝ていたので、死んでしまうのかと」
俺の事をこんなにも思ってくれる人がいるとは。
てことは、やっぱり俺はこの世界に転移してきたことになるのか。
「ごめん心配かけて。リルム、俺は君の事を助けられたかな」
「私は貴方がいなければ死んだ身です。シュンは私にとって命の恩人です。」
てかいつまで握ってるんだよ。
女性の手ってこんなにも暖かくて柔らかいんだ。
馬鹿野郎。今はそんな状況じゃないだろうが。
「でも俺は怪我をさせたんだ。それは謝りたいと思う。ごめん。」
「シュン、私は初めてこのような気持ちになりました」
ん?どういう気持ちになったんだ?
感謝の気持ちか。それしかないよな。
それにしても身体が痛い。
「どういう気持ちだ?」
俺が尋ねるとリルムはすぐに返事をした。
「察してください!」
俺から手を離し、頬を染めたままリビングに行ってしまった。
ふかふかのベッドから俺は降りた。
上半身は裸であり、包帯がぐるぐるに巻かれていた。
少し身体を動かすだけでも痛みを感じる。
立ち上がると偏頭痛のようなものもした。
ここは誰の家なんだ?
いや、俺は馬鹿か。
リルムしかいないだろ。
俺をこの世界で助けてくれる人なんて。
いきなりこの世界に転移してきて、よくわからないまま生活ってのはなんか怖いな。
「リルム!」
俺がそう呼ぶとすぐにリルムは返事をした。
「なんでしょう?」