家族小景「敬老の日」
ショウ君はこの9月、5才になりました。
お父さんもお母さんも、大喜びで、大きなホールケーキに五つローソクをともして、ショウ君がふっと息で火を消すと、みんなで手を叩いて喜びました。
お父さんのお父さんとお母さん、つまりショウ君にとってはおじいちゃんとおばあちゃんも一緒です。
「お誕生日おめでとう、ショウ君」
「おめでとう」
おじいちゃんとおばあちゃんもニコニコ笑っています。
ショウ君はおじいちゃんとおばあちゃんに言いました。
「今日はボクのケーキ食べるけど、今度はジィジとバァバのケーキだね」
「ん? どういうことだい」
おじいちゃんが首をかしげます。
「敬老の日って、おじいちゃんとおばあちゃんをお祝いする日って、先生が言ってたよ」
「ああ、そういうことね」と、おばあちゃんがにっこり笑います。
「ありがとう、ショウ君。バアバたちはケーキばかり食べていたら、太っちゃうからケーキは無しよ」
「えー!」
ショウ君は不満そうです。
「ショウ、じゃあ、わたしがちらし寿司を作ってあげる」と、お母さんが言いました。
「ちらし寿司かい。いいねえ。世話をかけるね」
おじいちゃんが幸せそうな顔をしました。
「ちらし寿司! わーい、ちらし寿司!」
ショウ君と家族の笑い声が、いつまでも家に響き渡っていました。