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第二話
ドアが閉まった後、少女は軽く首を傾げた。
何がいけなかったのかとチャイムを一度押してみる。だが、物音はせず、出てくる気配などもなかった。
その後何度かチャイムを押し続けたがやはり出てくることはなく、はあ、と一つため息をついてドアの前に座り込んだ。
そして、少しだけ見えた彼の姿を思い出す。
日に焼けない真っ白の肌、切れ長の目、少し長い黒髪。
全身が黒かったために、薄暗い廊下から出てきたときには白い肌が浮いて見え、少し驚いた。
が、間違いない。
少女はそう確信した。
「…今日はこれだけでも…いいかな」
立ち上がり、振り返らずに歩く。少女は迷いの無い足取りでアパートを出、もう夜になろうかという薄闇の中へ消えた。