初狂 6
起きたら自分の母親を殺されていた。
別に衝撃的ではなかった。なぜなら母親は手の親指、右耳、脇腹がなくなっていたからそんなにも、だから、それでも衝撃的ではなかった。
最初は泣きもした。それで泣き終わり母親をバラバラにしてゴミ袋に詰めて生ゴミの日に捨てた。
死んだ人間に対しては自分の力は使えないらしく触れても何も起きなかった。だから生ゴミにして捨てた。
何日か経つとダークスーツの大人たちが近所で私を探しているのに気づいた。
私の母親のことがバレてかと思い急いで家に戻った。
家にはどうやらまだ来てないらしく、家に入ってまず大きいカバンを用意した。理由としては簡単な事でもうこの家には帰れないだろうということだけ。
その次に冷蔵庫をあけた。生でも食べれる。ハム、ソーセージなどのことである。
ほぼ食事だけ詰めて出かけようとして足を止める。
玄関にダークスーツの大人がいた。危険を感じて私は荷物を置き、あまり物のない食器入れの棚に入った。
足音が近づいてくる。多分多くの大人たちが家に入ってきたと思われる。
自分の呼吸を殺した。バレたら殺される。バレたら嫌だ。なんて自分の考えだけがこの暗い空間に跳ね返って響く。
いつの間にか音が静まっていた。多分帰ったのだろう。よかった・・・・。
自分の足に銃弾が打ち込まれて悲鳴をあげそうにたった口を手で止める。バレたわけではない。バレているなら今すぐここを開けて私を連れて行くのであろう。だからばれてない。
また撃たれた。今度は腹に撃たれた。涙も出てきた。こんなの嫌だこんなんだったら楽に死んだほうがましなとのにと、さっきまで生き抜こうと思った者の考えではないと思う。
扉がいきなり開いた。自分から出る熱気で暑かった空間が開放的になり腕を掴まれ外に引っ張られ拘束された。私の逃亡劇はここで終わる。
次に起きたとき真っ暗だった。
何も見えないというよりは明かりの強弱ぐらいわかる布一枚で目隠しをされていた。どうやら警察より恐ろしい存在だと認識した。
手後ろに足もロープで縛られていていた。なぜか銃で打ち込まれたところは止血していた。
首を左右に振ると「起きたのね」と近くに優しい女性の声が聞こえて私の目隠しの布をとってくれた。
目の前には白スーツの男性その両隣は黒スーツの男性が居た。両隣の大人は怖そうだけど目の前の人は少し落ち着きがある悪い人に見えた。
周りを見渡すと私の右隣には美人な黒スーツ女性が居た。どうやらリムジン?とにかくリムジンらしき車に乗っているらしい目の前に向き合っている人がいるからそう予想しておく。
「君は人を殺してもいいと思っているか?」
いきなりの発言に戸惑うが白スーツの大人が質問したらしい。
「一般人の答えはこうだ。『殺しは行けません、なぜなら人が人を殺めることはいけない』だ
面白みもなければ、何も問題ない答えだな」
何が言いたいの、この人・・・・。
「でも僕は殺しについては良いと思っている。理由としては殺人で人の凶悪さは出ないからだ。
ホントの凶悪さていうのはその殺しの過程にあるんだと思う」
永遠、わけのわからない発言が続いてく。何が聞きたいの?
「一瞬で殺すことに関しては凶悪さなんてないのさ、あるのはそいつをそいつを殺したいだけのだから。
凶悪さというのははどうやってそいつを殺してやろうかだと思うだ僕は」
そして白スーツは胸ポケットから小型拳銃を取り出し私の足のつま先に撃ち込んだ。
あまりにも痛さにもがくが痒い所、痛い所に手足縛られて届かない。
「君の意見なんぞ聞かないよ、あくまで僕が聞きたいのは『YES』か『はい』だけだ」
落ち着いた声で話されることは凶悪さにうもれていた。私が母親をバラバラにするのと同じかそれ以上の凶悪さに、この大人は悪人だった。
周りの大人たちは私を見ていなかった。酷いのは見たくないのかひどく無表情だ
「質問だ、君は僕たちのために殺人を行ってくれるか?」
もちろん答えは一つしかなかった。