初狂 5
カラスは自分が人間の血で自分が染まっているのも気にせず野蛮に人の内蔵を食い散らかす。
「み、三郷・・・・あれは・・・・?」
何を言っても分からにから思ったことを口に出した。正直三郷にあまりにも愚問過ぎて後ろに着いている杏に振り向かず「食事」と一言だけ呟いた。
カラスは人間の食べれるであろう部分を食い散らかし食べ残した。
杏は怖くなり三郷の服の袖をつかもうとした。
「利き手じゃない方を出して」
唐突にそんなことをいうから伸ばした手をひっこめる。
「早く出して」
三郷は体を杏に向けて右手を差し伸べた。いきなり三郷がやさしくなったから少しためらいはあるけれど、ここは素直にいうことを聞いて・・・・。
杏は利き手ではない左腕を出した。三郷からさらに「指だけでいい」と忠告をくらった。なので人差指を三郷の手に置いた。
気づくとカラスが餌を求めて探す素振りをした。
キョロキョロ・・・・。
ジロ・・・・。
こっちに気づいた。そして飛びかかる。変なうめき声を上げながら飛んでくる。三郷は気づいていないのか、カラスの後ろに向いている。
杏は友達の危機を伝えようとして叫ぼうとした瞬間「黙たほうがいいよ」ときこえた。
指から腕、腕から二の腕、二の腕から肩まで到達するのに刹那で伝わった。痛みという痛みは感じなかったが通る感覚だけは分かる。
ありえない話で私の腕から刃物、刀なる物が出てきて腕の部分から斬り裂いて出てきた。
三郷は思いっきり杏から出た刀をカラスに向かって切り裂いた。慣性により真っ二つのカラスが三郷の体にぶつかり地面を跳ねた。カラスは動かなくなった・・・・。
三郷が持っていたはずの刀は鱗粉が巻くように消えていった。杏はそれを見て今何が起きたことを説明しようとして、なんでカラスが襲ってきたのか、私の指は――――。
「もういいよ」
え・・・・?。
「全部教えるよ」
え、え・・・・・?。
目の前にいる三郷は私の言葉を読み取りこっちを振り向いた。
「説明するよ・・・・全部・・・・」
寒い夜に流す汗が肌に感じた。私は沼に浸かった。底なしの沼に。
これから説明されることは多分私の人生を公開させることになる。
「帰れないからね」