初狂 2
しばらく話していると担任が教室に入ってきた。担任が着席を呼びかけるとみな席についた。
担任が教卓に付くと朝のHRの前に担任がクラスのみんなに発表があるらしく担任が話をする。
「こんな時期だが転校生が入ってくる」
一瞬の疑問と好奇心が同時に来た。
ざわつくクラスに担任が注意をすると一息つきドアの向こうにいるであろう転校生に入室を呼びかける。
入ってきたのは女子生徒だった。綺麗な長い黒髪が輝いていて歩き方はモデルみたいなひとだった。
教卓の横に付くとクラスのみんなに体を向けた。
「おはよう、名前は三郷三郷です」
いきなりの発言に担任も呆然していた。状況を整理した担任は三郷三郷に席を指定した。
「あんまり先生を驚かせないでくれよな」
そんな担任の話も軽く頷き三郷三郷は席に着く
「・・・・・。まぁいいか、HRはじめるぞ」
九時二十分
一時間目から体育で短距離走の授業、ジャージを着ていてもこの肌寒さはなれないのは私だけではないはず、なんて事を考えていると次の走者は三郷三郷が確認できた。
「あみちゃんはあの子きになる?」
話しかけてきたのは朝にドラマの話をしていた友達だった。気になるとは思うが知ろうとは思わない感じであったがそれでは話がつまらないと思い他の人が思う杏を演じながら質問にこたえる。
「彼女ってどんな人?」
「三郷さんはね、えーとね、前の学校では不登校だったらしく登校してきたのは一年のころの一ヶ月だけだって」
「そんなの嘘でしょ」
「それが本当だって、だれかが先生の話しているところを聞いたって」
壮大な話に杏は考えてしまった。そんな人生をむかえている人など全国探したって見つかない、そんな人が身近になるとは思わなかった。
三郷三郷は二位で到着していた。
十五時〇二分
いつものふたりに囲われて下校する杏は商店街で三郷三郷に会った。
「杏、あれ三郷三郷だよね?」
友達が三郷三郷に指を指すとこちらに気づき近づいて来る。友達は驚きを隠しながら体制をたてなおした。
「なにか用事でもある?」
「いや、べつにないけど・・・・」
「そう、じゃあ」
三郷三郷はすぐ帰ろうとした。
杏は先ほどの話を思い出し三郷三郷を呼び止めた。
「待って三郷さん」
前の学校では出来なかった事を短い期間で少しずつ埋めようと杏は考えた。
「一緒に帰りましょ」
杏が初めて他人に見せる姿に驚いた友達二人。友達の一人が杏を連れてかえろうとした。
「別にいいよ」
その声の主は三郷三郷だった。杏含めて友達二人も驚いたが杏だけは笑顔になっていた。