31/34
『十月二十一日 晴れ』
生徒会長の代替わりの時期を迎えた。
白船と黒川はそれぞれ引退となり、二年生からの立候補者による選挙で、次の生徒会長や副会長が決定される。
「カオルだ」
「カオルね」
ヒロとナオが当然のようにつぶやく。
ノートパソコンを打ちながら、僕も云った。
「運命と云うよりも、予定調和だね」
案の定、カオルは渋ったけれど(大勢の人の前に立つことが恥ずかしいらしい)、ミズキが「じゃあ、俺がやろうか?」と云い出したことで、どうにか腹をくくったようだ。
「なるほど、これがオリジナルのストーリーか」
ヒロがしみじみ云った。
「ミズキが生徒会長とか、恐ろしすぎる」
彼女は何事にも積極的に興味を抱く性格だから、他の面々が後押ししなくとも、生徒会に関心を抱いただろう。その場合、カオルは彼女を引き留めるため、自分が立候補するという選択を迫られるということだ。
「毎度のことながら、カオルは貧乏くじの役だな」
そう云ったヒロに対して、ナオミが皮肉な風に告げる。
「男の子と組んだら、いつもヒロインの役だものね?」
僕もヒロも、慌てて話題をそらす羽目になった。




