Act7 成績
「漆根君って自分の事勉強ができないって言ってるけど、そこまで落ちぶれている訳じゃないのよね」
「いや、まあ、入学して最初の実力テストで順位が一桁だった春日井さんに言われても見下されているようにしか思えないんだけど」
「何を言っているの、人聞きの悪い。「ように」じゃなくて見下しているのよ」
「でしょうね!・・・うん、まあ、落ちこぼれってほどじゃないけどさ、でもやっぱり下から数えた方が早いわけで・・・」
「人間は底辺なのに・・・」
「底辺っ!?」
「シュードラじゃないわ。アウトカーストよ。アンタッチャブルよ」
「不可触民!?・・・高度なボケを」
「こういうところにちゃんと突っ込めるあたり国語と社会はできるんじゃないかしら」
「・・・・・・」
「・・・・・・何か言ってよ」
「あれ?今の純粋に褒められただけ?てっきりここから罵声を浴びせられて飴と鞭だと思ってたのに」
「そういうところはやっぱり底辺ね」
「くっ・・・確かに今のは自分でまいた種だから否定しきれない」
「上手くいったわ」
「策だったの!?」
「まったく、なにをやっているのかしら。人間性でも学力でも一番下を取らないとダメじゃない」
「ダメなのっ!?」
「ええ。ほかの人は「ああ、良かった、まだ下にあいつがいる」って考えて安心するのよ。まったく、人を下に見て悦ぶなんて下種の極みね」
「いや、それ順位一桁の春日井さんに言われても・・・」
「上見て暮らすな、下見て献上」
「目を合わせることすら許されないのか!?そして少ない収入の中から捻出して献上しなければならないのか!?」
「それが人生よ」
「生きたくなくなった!」
「勉強ができる場合、大きく分けて天才型と努力型、そして天才でありながら努力型の3種類に大別できるわね。わたしは3番目だわ」
「自分で言った!」
「何を言っているの?こうして平和な国で勉強ができる事自体、それは天から与えられた才能じゃない」
「う、まあ、確かにそうなんだけどさ。ところで天には何があるの?才能っていうのは神様がくれるもんなの?」
「いいえ、彼は今莫大な借金を返すことで忙しいのよ」
「ついに神様が現代社会に負けたのか・・・」
「天には・・・ショッピングモールがあるわ」
「やっぱり金で買ったのか!?・・・でもまあそういうことなら僕も一応天才型になるのかな」
「一緒にしないで!!!!」
「いや、怒鳴りすぎだよ・・・。ほら、あっちにいる人が凄いこっち見たよ。怒鳴る意味がわからないよ・・・」
「いいのよ、ほかの人のことは気にしないで。あなたは自分だけの殻にこもって、二度と出てこなければいいのよ」
「引きこもってない!・・・まあ、言っても僕は帰宅部だからね。しかも趣味がないから、空いた時間にちょくちょく勉強はしてるよ。だから何もしない人よりはできる、くらいだ」
「ふーん、当たり障りのない回答ね。つまらないわ。妬まれて全ての教科書と資料集の著名人の写真だけ落書きされればいいのに」
「確かにそれは試験でその写真が出てきた時に誰か分からなくなって困るかもしれないけど、教科書はともかく資料集は一ページに5人の著名人の写真はあるよ・・・。そんな時間あったら勉強しようよ・・・」
「いいのよ。漆根君が困るなら、人一人くらい安いものだわ」
「黒春日井だ!!」