Act5 映画
「シュウ君がつむぎとの初デートにアクション映画をチョイスしたのは中2としてはかなりのナイスチョイスだとは思うけどさ、どうなの?映画とかって好きなの?」
「そんなに好きなわけじゃないですけど、テレビでCM見て面白そうなのがあったら見に行く、くらいですかね」
「ああ、それなら僕もわからなくもないよ。最近はさっぱりだけど、昔は頻繁に1人で足を運んでいたもんだ」
「あ、いや、僕は友達と・・・」
「ええっ!?映画を複数の人と見に行くの!?」
「いや、その発言にびっくりです」
「僕は殴ったり蹴ったりってのがあんまり好きじゃないからさ、恋愛系のほうがいいなあ。おすすめはそうだな、去年放映した『昨日の風は吹き去った』かな」
「また微妙に後ろ向きなタイトルですね・・・」
「うん、多分前作の『今日の風はさっき通り過ぎた』をもじったものなんだろうけど」
「漆根先輩の前で言うのもなんですけど、こんな僕でも突っ込みに目覚めてしまいそうなタイトルです」
「いやいや、実際いい話だったよ。見た後と見る前じゃ人が変わっちゃうね」
「へえ、そんなに感動するんですか?」
「うん、まあ感動というか感情が激しく動くと言うか、黙ってみてられないね。劇場にいた観客の『そこはキスだろ!』の声がピッタリ揃った時は体が震え上がったね。劇場から出たときはどんなボケでも突っ込みの喜びに目覚めているよ」
「漆根先輩の根源ですね。・・・僕は見ないようにします」
「おすすめなんだけどなあ。まあ、ほかにもいろいろ見たなあ。なんていうか、恋人がいる気分に・・・なれるんだ、よね」
「あっ、なんかすいません」
「いやいや、シュウ君が謝ることじゃないんだよ。僕だって2歳も下の中学生に先を越されたからって落ち込むほど小さいやつじゃないさ。ましてや妹の彼氏ならなおさらだ」
「あっ、そうなんですか。じゃあお言葉に甘えてはしゃぎます」
「いや、僕の話聞いてた?」
「僕には彼女がいるぜ!イエーイ」
「ごめん、首絞めてもいい?」
「・・・すいません」