Act4 好き嫌い
「つむぎってさ、基本的に何でも食べるけど、これが特に好きって物はあるの?」
「なに突然、ついに妹のあたしまで守備範囲に入れたの?」
「僕は妹の好みを聞いちゃいけないのかよ・・・。いや、とくに意味はないんだけどさ、この食卓に会話と言う花をもたらすために」
「あたしは観賞用の花は嫌いなのよね。あんなのかわいそうじゃない。植物は植物で自然のまま育つべきだわ」
「ああ、そうかい。じゃあ食卓が気まずいままにならないように」
「あたしは食事をしながら喋るってのがあんまり好きじゃないのよね。給食の時間もあたしだけは決して喋らないわよ」
「それは、どうなんだろう・・・。ああ、めんどくさい!教えて下さい、つむぎさん!」
「そこまで言うなら・・・」
「素直じゃないなあ」
「なんか言った!?」
「いえ、なんでも・・・。それで、なに?」
「まあ、食べ物の趣味なんて変わるけど、最近は・・・臓物かな?」
「ぞうもつっ!?」
「レバー」
「最初からそう言えよ!今一瞬僕の妹が食人鬼か何かなんじゃないかと不安になったぞ!」
「しょうがないじゃない、普段カタカナ語として使われている語もちゃんと日本語に訳さないと丸もらえないのよ!」
「それは大学入試の中でも最難関の大学の英語の和訳だけだ。日常生活で誰に丸もらうんだよ・・・」
「ん?ああ、あそこにいる長谷川さん」
「長谷川さんっ!?お前にも幽霊が見えるのかっ!?」
「冗談よ。・・・あれ?お前に『も』ってなに?」
「あ、いや、こっちの話」
「ああ、はいはい。耕兄の脳がやばいって言う話ね」
「くっ・・・。状況が状況だけにあんまり反論するとさつきさんを否定するみたいでつらい」