Act3 恋人
「ものすっごく聞きたくないんだけど、やっぱ聞きたいことなんだけどさ」
「なんだよ漆根、聞きたいことがあるなら聞けよ。お前はほんとにツンデレだなあ」
「殺すぞ。・・・お前ってどうやってあのモデルみたいな彼女ゲットしたの?」
「がっつくなあ、おい。そんなに彼女が欲しけりゃ斡旋してやろうか?」
「屈辱だ!決して人には言われたくないセリフだ!」
「そうだな、話してやろうか。『時は戦国・・・』」
「・・・・・・」
「っておい!どこ行くんだよ、漆根。ちゃんと聞いてけよ」
「何で手首をつかんで制止するだけじゃ飽き足らず胴をつかんで僕の身体を高く掲げたんだよ。ジャーマンされるかと思っただろ!」
「ばかが、今からお前を上下逆さにしてパイルドラーバーをするつもりだったんだ」
「・・・どっちにしろ僕の脳ミソぐちゃぐちゃになるんだな」
「それがいやなら聞いてけよ」
「はあ。・・・まさかお前にノロケ話を聞かされるとは思わなかったよ」
「悔しかったら彼女作ってみろ。ま、お前にゃ無理、か。・・・悪い」
「謝るなよ!そしてそんな目で見るなよ!この広い世界には僕と付き合ってくれる娘だってきっといるよ!」
「ああ、・・・ガラパゴスゾウガメとか?」
「何で爬虫類なんだよ!しかもなんでそんなピンポイントなんだよ!」
「コモドオオトカゲとか?」
「現代のドラゴンっ!?・・・もういいよ。僕をけなす暇があったら早く喋れ」
「ちっ、暇人のクセによ」
「そういう事はもっと小さい声で言え!」
「まあ、合コンだな」
「・・・えらく普通なんだな」
「まあな。合コンで行った店のウェイトレスで、当時の男が暴力団の組員で、俺は彼女を救うために乗り込んでだな・・・」
「及川ならありえなくもないと思えてしまうのが辛い!」
「ま、今となってはいい思い出だよ」
「お前は、ノンフィクションでハリウッドにでも出るといいよ・・・」