Act20 ツンデレ
「このテーマで春日井さんに話しかけるのはいささか危険すぎる気がするけど、春日井さんってツンデレってわかるの?」
「何を言っているのかしら、漆根君が知っていて私が知らないことがあるわけないじゃない」
「いや、そこまで僕の人生は春日井さんに先回りされてはいないと思うけど。・・・わかるんだね?」
「ええ、新作のドーナツでしょ?」
「そんなポン・デ・リングみたいな・・・」
「ツン・デ・レングはおいしいわよね」
「レングってなんだ!?」
「冗談よ。そうねえ、確かに誰かが私を指してツンデレと言ったことがあるけれども、私は別にデレた覚えはないからその人を刺し返したわ」
「字が違うっ!?何を刺したの!?」
「それを言うと犯罪になってしまうからお口にチャックをさせてもらうわ」
「表現方法がかわいいからと言って僕はごまかされないぞ!間違いなく口にしなくても犯罪のはずだっ!!」
「あれよ。みんなでかき氷を楽しむために大きな氷を砕くときに使うとても便利な器具よ」
「アイスピックだ~~!!」
「しょうがないじゃない。氷と間違えたのよ」
「人間をっ!?しかも明らかにその前までしゃべってた相手なのに・・・」
「私を形容するならばツンハァ?がふさわしいかもね。ちょっと中国人俳優みたいでかっこよくない?」
「確かにちょっとユンピョウみたいな響きだけど、しかしてその実態は相手に対して冷徹に応対し、しかも最後には「はあ?」と蔑みの視線を加えるという萌え要素0のキャラだよ!?いいの、そんなんで!?」
「やれやれ、漆根君はわかってないわね。これから訪れる時代にはツンハァ?こそが萌えキャラの筆頭として理解される時が来るのよ」
「いやだよ、そんな殺伐とした社会は!!」
「何を言っても周りから冷たくあしらわれる漆根君。考えるだけで愉快だわ」
「なぜモデルが僕だっ!!」
「ほかの人にそんな苦行を味あわせようというのっ!?」
「え、なに、そのうち僕以外のすべての人類がツンハァ?になるの!?」
「いいじゃない。全ての人から特別扱いされる漆根君。考えるだけで愉快だわ」
「やっぱ僕の精神がズタボロになることを知っているんじゃないか!」
「そんなこと言ってないじゃない。はあ、ここまで漆根君に信用されてないとはね。悲しくなるわ・・・」
「あ、えっと、ごめんなさい」
「罰として私をツンデレだと言ってみなさい」
「やだよ!確実にアイスピックが降り注ぐじゃん!」
「仕方ないじゃない。等価交換よ」
「僕への見返りがないっ!!」