Act16 委員長
「委員長って僕が入学してきた時から委員長でしたけど、どうやって委員長になったんですか?」
「んん?それは涙なしでは語れないよ?」
「あ、そうなんですか。でも大丈夫です、今日はハンカチを持ってます」
「よし、じゃあ特別に話してあげよっかな。まずね、中学3年という職業の時に高校の文化祭を経験するのね。そしてその後ある日突然のイベントで人生に絶望してみるの」
「・・・・・・」
「はい、そして高校一年生に転職した時に、文化祭委員を経験するの。そしてその後、その職歴を生かして様々な上級職のうち、どれか3つを経験すると、なれるのよ」
「なんかドラ○エっぽく説明しようとしたみたいですけど、途中から完全にド○クエの転職方法になっちゃってますからね。しかも勇者なんですか?」
「あっちゃあ~、またやっちゃった」
「またってなに!?こんな記録的なボケを繰り返しているのっ!?」
「まあ、私が勇気ある者であることは否定できないでしょ~」
「えっと、残念ながら僕は委員長が世界を救う瞬間に立ち会えなかったんですよ」
「だって、こうして君と普通に話してるじゃない」
「僕の周囲は勇者だらけなんだ・・・。世界が何回救えるんだろう」
「ええ~、勇者が本当に世界を救えると思ってるの?所詮ただの人間よ~」
「あっ、そこで現実に立ち返っちゃうわけですね」
「うん。人間だから漆根君にはバックドロップしか出来ないのよね。残念」
「十分すぎる・・・。僕は委員長の中でどんだけタフな男なんだ」
「だってどんなにフられてもへこたれないじゃん?」
「へこたれますよ。体の膨らみが全部しぼむくらいへこたれてましたよ」
「あっそう。どうでもいいや。それで、一年生の文化祭委員のうち立候補を募るのよ」
「絶対前フリいらないし、今の会話も不要でしたよね。じゃあ、僕でもできるんじゃないですか?」
「ああ、それは無理よ」
「やっぱ周りの信任とかですか?それならゼロ票になる自身はありますけど」
「それもあるんだけどね~。多分立候補した瞬間に全員で漆根君の足をつかんで窓から吊るし上げるから。そして布団を干すみたいにワサワサやるから」
「ワサワサって、なんか凄いオブラートの包み方してますけど、ようするに逆さ吊りの僕は宙に舞ったりしちゃうわけだ・・・」
「凹んでも大丈夫なんでしょ?」
「いや、精神面だけ・・・って言うか精神面もダメですよ!見て下さい、傷つきすぎた僕の体たらくを・・・。ていうか女子はともかく男子はその宙吊りに参加しますか?いや、女子でも参加しない人がいれば、先生に報告されてちょっとめんどくさいことになりませんか?まあ、先生が僕を擁護してくれるかは別として」
「なに言ってんの?大丈夫よ」
「何が大丈夫なのかサッパリです」
「あ、そっか。知らなかったんだっけ。文化祭委員は君に告白された女子及びその関係者で構成されてるのよ」
「こんなところに被害者の会の中枢がっ!?」
「ううん、それは違うよ。本部はもっと日本の中枢に食い込んでるから。あくまで支部よ」
「僕は何て四面楚歌だったんだ!もうあの会議に参加するのが怖いよ・・・」
「大丈夫。人間って結構しぶといのよ。頭に鉄パイプが刺さっても生き残った人だっているんだから」
「笑えない情報です。僕に今年の夏休みはあるのかなあ・・・」