表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ヒューマンドラマ

AIっぽいと言われ続けた俺、開き直ってAIを真似てみました

作者: 黒井 新
掲載日:2026/04/28

 最初にそれを言われたのは、連載三話目だった。


『これ、AIですよね?』


 画面に表示されたその一文を見たとき、俺は数秒、何も考えられなかった。


 褒められたわけじゃない。けなされたわけでもない。

 ただ、“お前じゃない”と言われた気がした。


 それからも似たような感想は増えていった。


『文章が整いすぎててAIっぽい』

『展開が安定してる=AI感ある』

『淡々として人間味がない』


 ──好きに言ってくれる。


 俺はただ、ちゃんと書こうとしただけだ。

 読みやすく、分かりやすく、面白く。

 それの何が悪い。


 なのに評価欄には、星と一緒に“AI疑惑”が並ぶ。


 ──ふざけるなよ。


 マウスを握る手に力が入る。


 ──消そうか。

 ──やめようか。


 そんな考えが、頭をよぎる。

 だがそのとき、不意に別の考えが浮かんだ。


 ──待てよ。


 AIっぽいって、何だ?


 誤字・脱字がない?

 更新が早い?

 テンプレ的な一定の面白さがある?


 ──それ、全部“強み”じゃないか?


 俺は椅子にもたれかかり、ゆっくりと息を吐いた。


「……なら、やってやるよ」


 開き直りだった。


 どうせAIだと言われるなら、徹底的に“それっぽく”なってやる。



 翌日から、俺の生活は変わった。


 朝起きて、プロットを組む。

 昼に一本、夜にもう一本書く。


 投稿は毎日、必ず同じ時間。


 読者の反応は全部チェック。

 どの展開でブクマが増えたか、どのセリフで感想がついたか。


 分析して、次に活かす。


 別に特別なことじゃない。

 ただ、地道に積み重ねるだけだ。


 AIでなく、人間が。


『え、更新早すぎない』

『この人ほんとに人間?』

『いやもうAIでしょこれ』


 コメント欄は、以前よりも賑やかになった。


 だが内容は、あまり変わらない。


 AI、AI、AI。


 ──いいさ。好きに言え。


 俺は黙々と書き続けた。


 一ヶ月後。


 ランキングに、俺の作品が載った。

 最初は下の方だったが、徐々に上がっていく。ブクマが増え、評価も伸びる。


『安定して面白い』

『毎日読めるのありがたい』

『もはや生活の一部』


 ──ほら見ろ。


 AIの疑いがあっても、面白ければ読むんだろ? 皮肉なものだ。


 “人間味がない”と言っていた連中が、“安定して供給される物語”に依存していく。


 三ヶ月後。


 俺の作品は、ランキング上位に食い込んでいた。書籍化の打診も来た。


 その頃には、コメント欄の空気も少し変わっていた。


『これAIじゃなくて努力じゃね?』

『人間でここまでやってたら普通にすごい』

『いやでもやっぱAIっぽいんだよなあ』


 ──どっちだよ。


 思わず苦笑する。


 だが、もう腹は立たなかった。

 むしろ少し面白い。


 そしてある日、俺はあとがきを書いた。


『いつも読んでいただきありがとうございます。よく“AIっぽい”と言われますが、全部、人力です』


 それだけ書いて、投稿した。


 数分後。


 コメント欄が爆発した。


『え、マジで?』

『嘘だろ?』

『いや絶対AIでしょ』

『この更新頻度で人間は無理』

『逆に怖い』


 ──なるほど。

 ──そうか。


 俺は画面を見ながら、小さく笑った。


 結局、わからないんだ。

 AIなのか、人間なのか。


 はっきりとした確証はない。


 ふと、最初のコメントを思い出す。


『これ、AIですよね?』


 あのときは、あんなにも腹が立ったのに。


 今は──


 そう思うならそれでいい。


 読者の皆様が満足するなら……。

 自分が楽しんで書けるなら……。


 肩の力が抜ける。


 俺はキーボードに手を置いた。次の話を書くために。


 人間が書く、AIみたいに。


 誰よりも泥臭く。


 ──さて、今日も更新の時間だ。

最後までお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字、誤用などあれば、誤字報告いただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
趣味で「人間が書いたかAIが書いたか見分けるツール」を先日作ってみました。 この作品を食わせたところ、めでたく「AI」判定が出ました。 おめでとうございます。計画どおりっていうあの画像を脳内で貼ってお…
AI確定かな、という作品読んできました 転生者のお料理無双でもないのに登場人物が箸を使う(ナーロッパ風の名前、文化的背景の説明ナシ)とか、王太子が出てくるのに王様も王妃様も宰相も影すら出てこない(政…
AIぽいなぁ嫌いだわー より 読んでて不快感を感じるなら読まなくなるだけ 書いてあった通りAIでも面白ければ読むし、そうでないなら読まない 人によってはミュートする そんなもんよね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ