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4/13〜4/19

作者: 今野
掲載日:2026/04/19

週末治





 カンカンと電車がやってくると、ロープが上がりますのでご注意ください、と音声がホームに流れます。脳内の宮沢賢治が電車について呟きました。


「色んな列車と連結する列車は、裏でヤリチンとかヤリマンとか言われているんだろうか」


「ああ、『あの子、急行になるために準急ちゃんと連結したらしいよ……? クスクス』だなんてね」


 そういった会話が、脳内で流れました。自分の脳内に住む宮沢賢治は、本物とは似つかわしくない品の無さです。実際に会ったことがないからわかりませんけども、無機物を生物として見る時、ひょっこりと彼は顔を出してくれます。彼の著作はいくつか拝読していて、やはり、銀河鉄道の夜はいいもんです。


 電車に乗り込むと、それが目的地の寸前で停泊すると、アナウンスがありました。時間まで暇があったので、私はどう時間を潰そうか考えました。


 目的地まで三駅あったので、一つ、知っている喫茶店に行こうと決めました。


 タバコ コーヒー と検索すると表示され、およそ一ヶ月ぶりにその喫茶店を訪店しました。アイスコーヒーお願いします、と伝えると


「ブラックで?」


「あ、シロップとミルクもお願いします」


 と文言が交わされました。すると脳内の朝井リョウがひっそりと顔を出すんです。


「恥ずかしい。コーヒーを自分の好みにしようとしてる……。それに、自分の好みのために誰かを動かしてしまっている。ブラックで飲めば、マスターもミルクとシロップなんて出す手間なかったのに!」


「でも500円の中にその手間賃は入っていると思えば……」


 コーヒーを飲んで、タバコに火を付けると、腰の低い椅子が座りづらく思いました。


 この喫茶店は、そこそこ死んだ商店街の一店舗です。たまに見かけるお客さんも、そこそこお年を召した方ばかりです。きっと腰の高い椅子は合わないのでしょう。


 メニューには、カツカレーがオススメ商品です、と記載されていました。


 いつか食べたいと思いながら、金がないので食べれません。それに、毎日カレーは食べているんです。半月ぶんのルーを冷凍し、19時半になれば解凍して食べます。


 毎日同じ生活がしたいと思いました。日々が暇すぎるんです。できるだけ昨日と同じ生活を心がけていると、昨日と違う箇所が明瞭になります。日々がつまらないから、せめて日々の感度を上げたいんです。


 昨日との誤差に、少しでも一喜一憂したいから、できるだけわかりやすいように、昨日と同じ生活を。こうしてカレーを毎日食べます。毎日カレーを食う男は、イチローが有名です。彼がルーティンを大切にしていたのは、何故だろうと考えました。


「ありがとうございました」


 店を後にして、まだ予定には時間があったので、二軒目の喫茶店に行こうと決めました。目的地に近づきながら、その喫茶店に着くと、臨時休業と壁にありました。雨が降っていて、傘も持たず、2秒くらい放心しました。モーニングセット、ここ美味しいのに……。


「コメ、コメ」


 太宰治の人間失格には、主人公と堀木という友人が、あるゲームをします。それは、言葉を片方が出して、片方がその言葉がトラ(トラジティ。悲劇名詞)か、コメ(コメディ。喜劇名詞)か当てるというものです。


「コメ、ええやん」


 予定よりも早く起きすぎて、時間潰そうと喫茶店に入り、カツカレーは金がないから食えず、毎日同じ繰り返し、雨が降っていて、二軒目に行こ〜〜っと、着いたら臨時休業。しまいに「モーニングセット、ここ美味しいのに」ですって。オチが弱すぎる。ふふと笑って、毎日ほとんど同じ生活をしていてよかった。


 この日はかなり当たりだったので、予定を終えると、友人から誘われた飲み会に参加しました。あんなコメないですよ。しかしどうにも、お酒が進みませんでした。一杯だけ飲んで帰らせてもらいました。


 帰宅するが早いか、カレーを解凍しました。19時半です。ご飯が保温状態で、昨日の自分を褒めました。つまり昨日も一昨日も、その前の週の自分も褒めました。カレーを食べ終わると、小説を書きました。最近は毎日短編を書けるようになり、その日は三作書きました。いつかサイトでも発表しようと思います。「信仰と放火」「食べればいいじゃん」「ニホンジン、ニホンジン」という三作です。


 そして、このような私小説を、土日に投稿しようと思います。




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