第116話 別れ
貞光はメイコによって自宅に運ばれたが意識が戻らず、ボウガンで
射抜かれた時に担ぎ込まれた、伊藤外科循環器科に救急搬送された。
そして2日後目を覚ました。
伊藤先生の見立てでは極度の疲労と鉄分、糖質の不足が原因との結果
が伝えられた。
「貞光、山形さんがたまたま見つけてくれて運んでくれたんだ」
「そうなんだ・・・」
でも、貞光は気付いている。偶然ではない、自分を守ってくれている事を。
「山形さんにお礼を言わないと。今日は来ていないの?」
「今日はまだだね」
「貞光。そう言えば、武市さんはお前のお見舞いに来ないのか?」
貞光はぎくりとする。父も母も倒れた原因が瑞穂にある事は知らない。
病室にの壁にかけらた白い時計が午後4:00時を伝えている。
「・・・別れたのか?」
「いや、そう言う訳では・・お互い、1度少し距離取ろうと言う事になった」
「そうか。俺もそう言って高校の時付き合っていた子と別れたな、自然消滅」
何気ない父の一言だったが、そんな原因だったのかと露呈した瞬間でもあった。
だが貞光は、自然消滅などを望んでいなかった。
1年以上を一緒に過ごして来た。愛し合った、楽しかった。
今の気持ちを聞かれたら、昨日まで(病院に担ぎ込まれる前)とは違うだろう
でも2人で過ごした時間は本物だったと信じたかった。
「じゃー父さんは行くからな。先生があと1日点滴を打って退院だってさ、
じゃー2日後に迎えに来るからな」
そう言って父が帰ったのと入れ替わりでメイコがサツキと森田、石井を連れて
お見舞いに訪れた。
「瑞穂以外、全員そろい踏みだね」
そう言って、病室に差し込んだ西日をカーテンで遮るメイコ。
「貞光氏、災難続きですな」
「やっぱり生気を吸われていたか」
石井は相変わらずストレートな物言いだが、見抜いていた。
「小娘、お前見えてるのか?」
「うん。武市最近どす黒いオーラじゃん。最近って言っても、ここのところ
姿を見て無いけど」
「えっ?そうなの?」
貞光が病院に担ぎ込まれた日から、瑞穂は学校に来ていない。
それどころか、瑞穂の事を誰も口にしないのだ、それはまるで最初からいない
かの様に。
サツキが怖い顔をして腕組みをする。
「周りの反応に私も怖くてなって。誰も口にしないから話しづらくて」
「それって、最初からいなかった様なって事?」
「うん」
「明日退院だから、ウツボカズラに行ってみよう」
「大丈夫なのか?」
「うん、リハビリを兼ねて。それに山形さんがいるしね」
貞光にそう言われ、メイコは平静を装うのがやっとだった。
そして、明日は土曜日。5人は、午後から行動する事にした。




