第102話 作戦会議
朝早く一度帰宅した神籬隼人は、昼頃また山形家を訪れ翔一に平身低頭謝った。
「ごめん、翔ちゃん。メイコちゃんに悪い事をした」
「そうだよ・・・。でも出入り禁止にすると言ったらそれはいいって。
隼人がいなかったら羽入君を助けられなかった可能性もあるって言ってたよ。
その意を汲んでやってくれ」
「分かった。それで、実は少し前から考えていた事があって」
「何だい?」
「廃人の町、世話係にどうやら欠員が出そうなんだよ、それも2人」
「へー、どれ位振りなんだろう。その2人どうなったの」
「廃人になったよ、200年耐え抜いたけどね。それで例の2人を町送りに出来
ないかと思って」
「でもどうやって?」
「うん、翔ちゃんの細胞注入と、彼らの技術を使うの。奈落の子飼いになってる
とは言え体が粉々になれば楔どころの話じゃなくなるでしょ」
「まーそうだけど」
「そのままじゃ粉々殺人事件になっちゃうから。そこで彼らの技術の出番。
何時も使っている空間移動、あれ正の回転と、逆回転があるんだって。
つまり時間をさかのぼる回転」
「表があれば裏もあるって事? へーっ、どんな原理なんだい?」
「俺も難しい事は分からん。ただ、それも人が乗れて遥か昔に行けるとかその
類の物では無いらしいんだ。物体の時間を遡る的なやつみたい」
他者へ細胞を注入する技術は、不死者の中でも限られた者にしか出来ない高等
な技術だ。不死者は本来、性行為によって不死になりたい者にその細胞を施す。
だが翔一とその娘、メイコはそれを自由に使う事が出来た。
神籬は翔一の細胞注入で太田を爆発させその後、彼らの技術で屍を回収。時間を
逆転させて太田を蘇生し、廃人の町に送り込もうと考えていたのだ。
生きていれば殺人にはならないし、廃人の町から抜け出した人間は今のところ存在
していない。
「上手くいくかね?」
「メイコちゃんを交えて検討が必要だよね」
「ところで、その技術幾らで貸し出してくれるの?」
「1回500万円」
「おおーっ流石い良い値段だ。でも考えようによっては妥当だね。
分かった、急いで検討しよう」
翔一と隼人が最終決戦の事前打ち合わせをしている頃、メイコは瑞穂とたった
2人園芸部室にいた。
瑞穂とメイコ、お互いの気持ちを知ってしまった今、このままうやむやに出来ない
ところまで来ていた。
気持は一杯いっぱいだった。




