第1話 全ての始まり
本日から連載いたします。
どうぞよろしくお願いします。
「あ~あ、憂鬱な日々の始まりか~」
入学式を体調不良で欠席した武市瑞穂、彼女にとっては今日が初登校日。
その上遅刻してもおかしくない時間に家を出たのは、これから始まる学生生活を
想像し、憂いたからだ。正門から少し入った所で始業時間のチャイムが鳴るのを聞いた。
「やっぱり間に合わなかった・・・」
静まり返った自転車置き場が緊張感を誘い眠気を催す。気を取り直し教室へと続く
廊下をそそくさと進むと、急に視界が開けザワザワと人の気配を感じた。
前方には、廊下に突き出た1年2組のサイン。貴方を待っていましたと言わんばか
りにこちらを見つめている。
「は―っ、貴方の名前は地獄の1丁目?」
そう言うと、扉の引き手に掛けた指に力を入れて、ガラガラと少しシブい教室の扉を引いた。
予想をしていた事だったが、教室中の視線が瑞穂に注がれた。
「遅くなってすいません」
その姿を見たクラスメイトの男子たちが色めき立つ。
肩まで伸びたふわふわな髪、健康的に焼けた肌、とび色の大きな瞳、
リップクリームを少し付けた唇はつややかで香水を付けている訳でもないその体躯
から放たれる魅力的な匂いは異性を引き付けるのに十分だった。
(しまったー、早く来てひっそりと座ってジッとしているべきだった、私のバカ)
そう思ったが、時はすでに喫していた。
「武市さんかな、早く座りなさい。では、えー今日から1年間皆さんの担任を
します岡田です、よろしくお願いします。えー、2年生になったらクラス替えが
あるので、この1年間有意義に使って友達を沢山作るように」
「なに先生俺たちは小学生かよ」
お調子者の一声で教室の所々に笑いが起きる。
「それから、わが校は部活動を推奨しています。強制ではないけれど
同好会を含めると、30位あるのでまー何かしらを考えてくれー。それでは
授業をはじめるぞー」
何処にでもある至って普通の日常が、ぶっきらぼうに始まった。




