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『俺だけレベルアップな件』を観て思った、「強さ」と「孤独」の話

 夜、なんとなく疲れてスマホをいじっていたときに、たまたま見つけたアニメ『俺だけレベルアップな件』。

 「またよくある強くなる系のやつかな」と思いながら、軽い気持ちで観始めたんです。そしたら、まさか自分のことを見ているような気持ちになるとは思いませんでした。


 主人公の水篠旬は、最弱のE級ハンター。命の危険がある仕事をしているのに、誰にも期待されず、時にはバカにされて、それでも「家族のため」に必死に働いている。

 その姿が、なんだか自分と重なって見えたんですよね。


 私も「何かに選ばれた人間」ではないし、いつも人に頼るのが下手で、「自分が頑張らなきゃ」って無理してしまうタイプ。

 だから、旬が「システム」という謎の力で、一人だけレベルアップできるようになる展開は、うらやましくもあり、すごくリアルに感じました。

 ――だって、あれは彼が「選ばれた」からじゃない。

 自分で選んで、自分の足で立ち上がったからこそ得られた力だったから。


 アニメは、戦闘シーンの迫力もすごいし、影の兵士を引き連れて戦う旬の姿は、めちゃくちゃカッコいい。

 だけど、いちばん印象に残ったのは、強くなっても孤独がなくならないってこと。

 むしろ、強くなったからこそ、誰にも弱音を吐けなくなっていく彼の背中が、痛いくらいに沁みました。


 私も、ちょっとだけ仕事で成果を出したとき、周りに「すごいね」って言われる一方で、プレッシャーや不安を口に出しにくくなった経験があります。

 「このくらいで辛いなんて言っちゃいけない」とか、「期待されてるから頑張らなきゃ」って、どんどん心が固くなっていった感じ。

 旬のように強くなれたかは分からないけど、あのときの自分も、たしかに誰にも見えない敵と戦っていたんだと思います。


 この作品には、「誰かが助けてくれる」展開はほとんどありません。

 旬は、ずっと自分の力で戦って、血を流して、立ち上がって、少しずつ強くなっていく。

 その姿は、「誰にも頼れないけど、諦めたくない」って思ってる人たちの背中を、そっと押してくれるようでした。


 そして何よりも救いだったのは、旬が「誰も信じられなかった」時期を乗り越えて、ちゃんと誰かと繋がっていく姿。

 強くなった彼が、かつての自分のような人たちを守ろうとするところに、涙が出そうになりました。

「ああ、自分が頑張ったことにも、意味があったのかもしれない」って。


『俺だけレベルアップな件』は、ただのバトルアニメじゃない。

「孤独」とか、「自分の価値」とか、「誰かに期待されたい気持ち」とか――

 そういう、日常のモヤモヤに静かに寄り添ってくれる物語だと思います。


 この作品を観てから、少しだけ、自分のことを誇らしく思えるようになりました。

 ちっぽけでも、誰にも見られてなくても、ちゃんと私はレベルアップしてる。

 そんな気がしたんです。


 もし最近、「自分ってダメかも」とか、「誰もわかってくれない」って感じている人がいたら、このアニメを、静かな夜にそっと観てみてほしいなと思います。


 きっと、あなたの中の“水篠旬”も、ちゃんと立ち上がろうとしているから。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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